(2010年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国は1890年の米国に似ているのか? それとも、むしろ1980年の日本に似ているのか? もし米国との相似が正しければ、中国は来世紀の覇権国になる可能性が高い。もし日本との対比の方が正確であれば、米国の覇権に対する中国の挑戦は短命に終わる可能性がある。
米国を覆うムードは今確かに、1980年代終盤にかけて広がった「衰退主義」を誇張したバージョンのように感じる。米国が日本の台頭に怯え、立ちすくんだ時のことだ。
米国に広がる衰退主義のムード
ピュー・リサーチの最近の世論調査では、米国人の過半数が、中国経済は今既に米国経済より大きいと考えていた。これは全くの間違いだ。調査が実施された時点で、中国経済の規模は米国の半分程度だった。
1980年代の終わりに広がったのも、この種の恐怖感だった。日本の投資家はニューヨークのロックフェラーセンターを買って米国人を不安に陥れた。そして当時、世界最大の債権国は日本だった。
ポール・ケネディ教授の『大国の興亡』は世界的なベストセラーになった〔AFPBB News〕
1980年代終盤の衰退主義者の精神を捉えたのが、米エール大学の歴史学者ポール・ケネディの著書『大国の興亡』(『The Rise and Fall of the Great Powers』)である。
読者に「帝国の行き過ぎた勢力拡大」の概念を教えたケネディ教授の主張は、米国は国際社会に対する責務の重さでよろめいており、大英帝国やナポレオン帝国、スペイン帝国と同じ道をたどって相対的な衰退に入った、というものだった。
ケネディ教授の著書は1988年に出版された時、センセーションを巻き起こした。だが、それからわずか1年後にベルリンの壁が崩壊し、日本の株式バブルが弾けた。
1990年代半ばになると、「ケネディの命題」そのものが相対的衰退に入り、米国が「唯一の超大国」であるとか、「文明の衝突」が起きるといった、より魅力的な新理論に取って代わられた。
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