長引く景気低迷と少子高齢化の影響をまともに受け、生命保険業界は新規契約高や収入保険料がマイナス成長に陥り、「冬の時代」に突入している。こうした中でライフネット生命保険はインターネット販売に特化し、開業2年足らずで保有契約が2万件を超えた。
急成長の原動力は、大手生保が「価格破壊」と震撼する付加保険料(生保各社が受け取る保険料の手数料部分)の大幅な引き下げ。また、ライフネット生命の商品設計は極めてシンプルだ。品揃えは定期死亡保険、終身医療保険、就業不能保険の3つしかなく、保険金不払い問題で生保業界が指弾された複雑な特約も一切ない。
出口治明社長は日本生命保険の元エリート社員。生保業界の表も裏も知り尽くした上で、独立系生保としては74年ぶりに免許を取得し、「100年続く世界一の保険会社」を目指してライフネット生命を創業した。「友人や家族に自信を持って勧められる商品しか作らない、売らない」と古巣に宣戦布告している。JBpressは出口社長に単独インタビューを行い、手帳も腕時計も捨てたという独特の経営術を聞いた。(取材は2010年3月15日、前田せいめい撮影)
JBpress 足元の販売状況と累計の業績を聞きたい。

出口治明社長 2010年2月末で保有契約は2万件を突破した。毎月、前月比8%程度伸び続けており、中国の年間GDP成長率を月間で達成するような勢いがある。「開業後5年間で保有契約15万件」という目標は、この伸び率でいけば十分達成できる。
保有契約高は2700億円を超え、これも予想通り。15万件到達時の契約高は1兆5000億~2兆円になる。業績については、お客様のお陰で全く心配していない。
出口治明氏(でぐち・はるあき)1948年三重県出身 72年京大法卒、日本生命保険入社 ロンドン事務所長、国際業務部長などを経て05年退職 東大総長室アドバイザーなどを歴任後ライフネット生命保険を創業 08年5月営業開始 10年2月末の保有契約件数2万1291件、保有契約高2714億5900万円
生命保険業免許を取得した基準として、開業から5年後の単年度黒字転換、10年後の累積損失一掃がめどになるが、実現できると思う。保険業は一種の「装置産業」だから、初期に大きな設備投資が必要。例えば、現在の保有契約2万件程度であれば小さなパソコンで十分管理可能だが、東京と(バックアップ用として)大阪に大きなサーバーを置かなくてはならない。
━━ 景気低迷の上、生保業界には少子高齢化の逆風が吹き荒れる中で、急成長を続ける秘密は何か。
出口氏 日本人の所得が実質的に下がり続ける中、30歳で保険料半額(男性、保険金1000万円、10年定期で月額1328円)を実現した「安さ」が一番の要因だろう。
だがそれだけではなく、(開業時に約束した)「マニフェスト」、いわば志が顧客から支持されているのだと思う。(手数料に当たる)「付加保険料」をはじめ、商品や経営に関して徹底的に開示し、中身を全て明らかにしたことが大きい。
これまで日本の保険ユーザーは、比較しないで商品を購入していた。生命保険文化センターの調査によると、67.7%が生命保険加入時に「特に比較はしなかった」と回答する一方、68.1%が営業職員を通じて加入しており、2つの数字がピタリと一致する。
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