(2010年3月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ケニアの首都ナイロビで最も豪華なサファリ風のホテルの前。30人前後の日本人の子供たちが教師から日の丸の国旗の振り方について教わっていたところへ、ドアから身を乗り出すケニア人の護衛を乗せた車が現れ、音を立てて止まった。
数秒後、一回り大きな車が現れると、子供たちが喝采を送った。徳仁皇太子が降りてきて、ケニアの副大統領に挨拶したのである。
天皇の跡継ぎである皇太子はガーナを訪れた後、3月第2週にケニア入りした。皇太子がサハラ以南のアフリカを訪問するのはこれが初めてで、訪問は折しも、アフリカで繰り広げられる天然資源と経済的影響力を巡る争奪戦に日本が遅ればせながら参戦する時期と重なった。
天然資源と経済的影響力を巡る争奪戦に遅ればせながら参戦
日本政府の後押しを受けた日本の商社やメーカーは今、アフリカにどっと攻め入るというよりは、そろり足を踏み入れつつある。日本勢は慎重に、中国やインド、ブラジルと同じ目標を追求している。石油と鉱物資源、そして新市場を獲得しようとしているのだ。
アフリカ大陸では近年、次第に積極的になり、自信を強める中国が精彩を放っており、皇太子がもたらした親善の意は、その影にかすんでいた日本の評判を高めるだろう。
日本政府は2008年に、2012年までにアフリカへの政府開発援助を倍増させると同時に、日本企業による対アフリカ投資を34億ドルに倍増させる支援をするという2つの目標を打ち出した。3月初めには、トヨタ自動車系列の商社である豊田通商が、南部スーダンをケニア沿岸部と結ぶ総工費15億ドルの石油パイプライン建設計画への関心を示した。
しかし、経済状態が必ずしも日本の官僚や企業の強みに合わないアフリカ大陸で、果たして日本に目標を達成する意思があるかどうかは、なお疑問が残る。
長年、アフリカにおける日本の存在感は、農業およびインフラ計画への援助が主体だった。日本の外務省によれば、政府援助総額は1997年のピーク時より減ったものの、今は再び増加傾向にあり、既に2012年の目標額である18億ドルに迫っているという。
政府援助から民間投資へシフト
だが、長年、西側諸国と似た関与政策のモデルを踏襲してきた後、政府援助は以前ほど重視されなくなった。関心は民間企業に向かっており、日本は競争力を高めるために戦略を見直しているのだ。
元駐日ケニア大使で、現在、トヨタ東アフリカの会長を務めるデニス・アオリ氏は、「当初は日本政府から、『それは民間部門の問題であって、我々は企業にアフリカ進出を強いることはできない』という発言をよく聞いた」と言う。だが、2008年に第4回日本アフリカ首脳会議が開催された時には、「我々は一緒になって民間企業にアプローチしていた」と話す。
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