(2010年3月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
フィンランド政府の高官ヘイッキ・ニーメレイネン氏は、機嫌が悪い。同氏は過去8年間、地方政府が発行する債券に中央政府の保証を与える地方政府保証機構(本部ヘルシンキ)を運営してきた。
理論上、この機関は常識的な方法で運営されている。ニーメレイネン氏が率いる組織は、投資家にフィンランドの地方政府債を担保として利用することを認めているが、その際、運営状態の悪い地域にはペナルティーを科す(罰金を請求する)一方、財政状態の健全な地域には見返りを与えるスライド式の「ヘアカット」を設定しているのだ。
だが、ニーメレイネン氏が驚いたことに、彼は最近、こうした常識的な考えが実は珍しいことに気がついた――少なくとも欧州中央銀行(ECB)に関しては。というのも、市中銀行がECBにユーロ圏諸国の国債を担保として差し入れる際、トリプルBという低い格付けを上回っている限り、すべての債券が同等に扱われ、スライド制のヘアカットが全く存在しないからだ。
ギリシャ国債をユーロやフィンランド国債に交換できる「裏口支援」
このため、ギリシャ国債は実質的にフィンランド国債と同じように扱われる。ギリシャ政府の財政状況が、例えば、そう、フィンランド政府に比べて大幅に悪化しているために、ギリシャの10年物国債の利回りがほぼ7%と、フィンランド国債やドイツ国債の市場レートの2倍近いにもかかわらず、である。
そして、このことは事実上、ギリシャ国債を保有するどの銀行も、ECBを通じてギリシャ国債をユーロ、あるいはフィンランド国債にさえも自由に交換できることを意味している――こうして裏口の財政支援を満喫しているのだ。
「ECBの構造には、一部の国や銀行に欧州版キャリートレードを行う可能性を与える非常に危険な欠陥があるように思える」。ニーメレイネン氏は憤りながらこう語り、「一部の国はこの状況をうまく利用しており、フィンランドのような他の国々は救援活動を行うのにもってこいだと見られている」とつけ加える。
ニーメレイネン氏曰く、こうしたやり方は過去1年間、銀行を大幅に弱体化させ、ECBが「この資金ポンプ」を止めた時に、欧州の多くの銀行にとって新たな流動性危機を作り出す恐れさえあるという。
もちろん、ECBのジャン・クロード・トリシェ総裁ならきっと、このパターンについて多少違った説明をするだろう。トリシェ総裁はここ数カ月間、ECBは、ギリシャその他の国に自力で改革を実行させることにコミットしていると強調してきた。
ECBも担保規則を厳格化する予定だが・・・
そして実際面でもECBは今年、担保規則を厳格化する予定で、これが実行されれば、ギリシャ国債を担保として使うのは難しくなるかもしれない。ECBは、シングルA以上の格付けを持つ場合しか債券を利用できないという規則を復活させる計画で、現在の傾向から見て、ギリシャはそれを下回る水準まで格下げされる可能性がある。
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