だが、そういう並み居る強豪を相手に、サトーカメラはカメラ販売でぶっちぎりの強さを見せる。カメラ販売シェアは14年連続で栃木県ナンバーワン。デジタル一眼レフカメラの販売シェアは県内で60%以上に達するという。

 にわかには信じられないシェアの高さだが、サトーカメラの店舗に足を踏み入れると、納得せざるを得ない。

 宇都宮本店を取材に訪れたのは平日の午前中だったが、主婦、子供づれの家族、若い女性、お年寄りなどが次々に訪れてきて、客が途絶えることがない。常時、10人ぐらいの客で店内が賑わっている。店内のあちこちで店員と客が顔を突き合わせて会話をしており、時には笑い声も聞こえてくる。

宇都宮本店の店内の様子。壁には、写真や商品説明パネル、ポスター、POPなどがぎっしり。

 サトーカメラの取材のあと、宇都宮の他の大手家電量販店のカメラ売り場を回ってみた。客の数はせいぜい2~3人。客が1人もいなければ、店員の姿も見えないという寒々しい売り場もあった。

 客の数が違うのは、たまたまその時だけだったのかもしれない。しかし、それを差し置いても、店内の雰囲気は明らかに違う。

 サトーカメラの店内は、至るところに手描きPOPや大量の写真が張り巡らされ、それらが異常とも言えるほどの密度感と熱気を醸し出していてる。

 一般的な大手家電量販店の売り場とは似ても似つかないこの不思議なカメラ店は、一体どのようにして出来上がったのか。何らかの哲学や強い思いがないと、こういう店にはならない。それが一体何なのかを知るために、代表取締役専務・佐藤勝人氏を訪ねた。

 佐藤氏は1988年に、両親が市内で営んでいた小さなカメラ屋を兄と継いだ。以来、大手家電量販店の度重なる来襲に屈することなく、栃木県内に18店舗、年商25億円のカメラチェーンをつくり上げた。  

 佐藤氏が大手家電量販店との激闘の末に見出した「商売の極意」とはどのようなものなのか。

デジタルの登場で先が見えなくなった

── とても個性的な店づくりをされていますね。店づくりの基本的な考え方について教えてください。

佐藤勝人氏(以下、敬称略) 一言で言うと効率を求めない店。現場に徹底的に言い聞かせたのが、効率は考えなくていい、客が納得するまで話をしてやれということ。