(2010年3月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
1990年代後半のハイテクブームは、およそ実現しそうもないアイデアの持ち主に数百万ドルもの含み益をもたらした。
ペッツ・ドット・コムという企業は、猫のトイレをオンラインで買わないかと人々に訴えながら1億ドル近くの資金を調達した。1999年のスーパーボウルでは自社のマスコット(犬のパペット)を配した広告も打った。またウェブバンという企業は、食品をオンラインで売って購入者の元に配送する新市場を開拓しようとして、10億ドルを投資した。どちらも2000年に店を閉めた。
米ナスダック総合指数が5048.62という史上最高値をつけた2000年3月10日からちょうど10年。ハイテク業界は今、より少ない資源でより大きな成果を上げることを学びつつある。
ナスダック総合指数は最近になってようやく2000ポイント台を回復し、9日の終値は2340だった。シリコンバレーは10年前よりも、はるかに落ち着いた場所になっている。設立間もないドットコム企業が何億ドルも支払ってスーパーボウルの広告枠を獲得したり、新規株式公開(IPO)を祝って贅沢なパーティーを開いたりする時代は、はるか彼方に過ぎ去ったのだ。
戻ってこない栄光の時代
数年前にはウェブ2.0時代に対するほのかな楽観論が広まったものの、その後の景気後退により、栄光の時代を再び目指す動きは中断してしまっている。
少ない資本供給、人々の倹約志向、そして凍りついたIPO市場。こうした逆風にさらされた起業家たちは、資金調達の努力を重ねたり、エグジット(投下資本の回収)するまでの期間の長期化に耐えたりしなければならない状況にある。
ハイテクバブルは、インターネットに関係するものなら何でも黄金に変わると信じた投資家たちにより形成された。いわゆるドットコム企業はほぼすべて、出資を受け、株式を公開することができた。
こうした行き過ぎた状況の極みが、インターネット接続事業者AOLによるタイムワーナーの買収だった。2000年に実行されたこの取引は、今では史上最悪の企業買収と見なされている。
「10年前は、スケールが大きく大胆なアイデアであればあるほど、集まる資金の額も大きかった」。レッドポイント・ベンチャーズの創業パートナー、ジェフ・ヤン氏はこう振り返る。レッドポイントは、オンライン検索サービスのアスク・ドット・コムや、オンラインDVDレンタルのネットフリックスといった企業を支援した実績を持つベンチャーキャピタル(VC)だ。「多くは、スケールが大きく大胆だけれど、成功する確証のないアイデアだった」
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