毎年3月8日の「国際女性デー」は、日本ではほとんど認知されていない。女性の参政権などを求めて100年前に始まったこの記念日は、台湾では広く知られており、今年も同日前後に様々なイベントが各地で行われた。政治家はイベントに積極的に参加し、女性の権利保護を訴えるのが毎年恒例の行事となっている。

台湾総統選の野党候補、馬英九氏が来日

甘いマスクが人気? 馬英九総統を誕生させたのは女性票〔AFPBB News

 議会制民主主義が発達した台湾では、女性は貴重な票田だ。馬英九総統は特に女性に人気で、2008年3月の総統選で彼が総統に当選できたのも、女性のおかげと言っても過言ではない。女性パワーが国を動かしているとも言える。

 台湾で暮らしていると、女性パワーに驚くことが多い。マスコミ業界では、女性記者の多さがひときわ目立つ。カメラマンこそ男性の方が多いが、記者となると女性は半数を優に超えている。日本でも女性記者は増えているが、台湾に比べると足元にも及ばない。

 一般企業や政府機関では、男性が女性ボスの下で働くことは当たり前で、社会の各層で活躍している女性の姿は強く、頼もしい。今では志願して軍隊に入り、防衛を担う女性も増えている。農業社会だった台湾はかつて日本と同様、「男尊女卑」の価値観が社会を覆っていた。しかし、工業化や女性の権利意識の向上に加え、2300万という限られた人口で台湾の成長・発展を実現するには、有能な人材に男女を問う余裕が無いことも、女性の社会進出を促しているようだ。

高学歴化で社会進出進む

 台湾の主計処(統計局)が発表した最新統計によると、2009年の就業者全体に占める女性の比率は43.8%と、10年前の1999年に比べ3.7ポイント上昇し、50%に近付きつつある。女性の学歴は、大学や専門学校を卒業した人の比率は34.4%で、同14.2ポイント上昇。逆に中卒以下の割合は10年前の46.4%から33.7%に低下し、高学歴化が女性の社会進出を促したことが分かる。

人材派遣会社「104人力銀行」の呉麗雪副社長。平社員として入社、8年で副社長に上り詰めた(撮影筆者)

 就労事情に詳しい人材派遣会社「104人力銀行」の呉麗雪副社長(40)は、台湾女性の就業率が上昇した背景には「産業構造の変化がある」と指摘する。台湾全土の都市化や産業空洞化に伴い、農業や工業に代わって金融や外食産業などのサービス業が発達したことで、女性の就労機会が増えた。当局もサービス業の育成に積極的で、今後も女性の就労機会は増え続けると予想する。