(英エコノミスト誌 2010年3月6日号)
各国が競って自国通貨を弱くしようとしている。
強い通貨が国力の象徴とされたのも今は昔〔AFPBB News〕
昔々、各国は強い自国通貨に誇りを持っていた。強い通貨を経済力と政治力の象徴と見なしていたのである。
それが今では、外国為替市場が体重44キロのチャールズ・アトラス並みのひ弱な通貨だらけになり、皆が皆、浜辺で砂をかけられたいと願っているかのように見える*1。
まず、2009年に米ドルが打撃を食らった。リスクを取る意欲が回復し、非常に低い金利でドルを借りることが可能となる中、ドルが投機的な「キャリートレード」取引に使用され、資金が米国から国外へ流出したからだ。
次にユーロが売りを浴びせられた。南欧諸国のソブリン債の問題に対するユーロ圏のエクスポージャー(投資残高)が懸念されたためだ。
ドルに続き、ユーロ、さらにはポンドが売られ・・・
3月初めになると、英ポンドが急落した。英国の財政赤字に対する懸念に加え、5月に予定されている総選挙後に、ハングパーラメント(絶対多数の政党が存在しない議会)が政治の膠着状態をもたらす恐れが不安視されたためだ。
政治家と中央銀行が、こうした為替相場の下落に動揺している兆候が少しでも見られるだろうか? 全くない。
イングランド銀行のマーヴィン・キング総裁は、輸出を後押しする要素としてポンド安を歓迎しているように見える。フランスのクリスティーヌ・ラガルド財務相をはじめとする欧州の政治家も、同様の理由から最近のユーロ安に好感を示している。
*1=チャールズ・アトラスは20世紀初頭に名を馳せたボディビルダー。砂浜でいつも乱暴者に砂をかけられ、見返すために身体を鍛えたとされ、その物語を題材にした筋力トレーニング手法の広告で有名
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