(2010年3月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
11月にかけて、厳しい時期が続く〔AFPBB News〕
バラク・オバマ大統領率いる米政権は、これから11月の中間選挙にかけて辛い時期が続く。大統領は不利な立場に立たされており、その政治的資本も底をつきかけている。その一因が、昨年実施された景気刺激策に対する国民の評価だ。
有権者の4分の3が、この刺激策のやり方には問題があったと考えている。米国の子供たちが、正当な理由もなく将来の借金を負わされたというのが、有権者の認識だ。
巨額のカネが無駄に使われ、子供たちに借金を背負わせた
巨額のカネが無駄に使われたという国民の意識が、オバマ政権が目指すほかの施策(特に医療制度改革)の実行を一層困難なものにしている。
景気刺激策に対する米国民の認識は誤っているが、その誤解は理解できる。医療制度改革の場合と同じく、景気刺激策が固まるまでの権謀術数は、身の毛もよだつような代物だった。また、やはり医療制度改革の場合と同じく、オバマ政権は独自の明確な方針を持たず、機能不全に陥って国民の信頼を失っている連邦議会にその方針を委ねた。
これ以外にも、2つの要素が障害になった。1つ目は、景気後退が予想よりも深刻で、しつこかったこと。2つ目は、あまり理解されていないが、景気刺激策が見かけよりも規模が小さかったということだ。
今回の景気後退が大規模な刺激策を必要とするものであり、事実、刺激策は機能しているという点で、多くのエコノミストの意見が一致している。独立機関の連邦議会予算局(CBO)の推計も、この見方を裏づける。
CBOによれば、景気刺激策は2009年第4四半期の生産高を1.5~3.5%押し上げ、失業率を0.5~1.1%ポイント押し下げる効果があったという――つぎ込んだ金額の大きさを考えれば目を引くような数字ではないが、それでも価値があることに違いはない。
識者の間でも刺激策の効果に懐疑的な声
こうした数値に、懐疑派は疑いの目を向けている。ハーバード大学教授のロバート・バロー氏は、米ウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿で、5年間で計算すると「今回の財政刺激策は、9000億ドルの民間支出を犠牲にして6000億ドルの追加公共支出を行うものだ。これは割に合わない取引と言える」との論を展開している。
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