(2010年3月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国の大手ヘッジファンドが2月初めの夕食会でユーロ売りについて話し合ったことが暴露され、話題になっている〔AFPBB News〕
もしヨーロッパ人を動揺させたいのであれば、ニューヨークに本拠を置く複数のヘッジファンドが秘密の夕食会でユーロに対する陰謀を企てたという暴露話に勝るものはなかなかない。
ヨーロッパ人が心配するのは正しい。ただし、共謀そのものについてではない。世界でも有数の抜け目ない投資家が、ユーロは大幅に安くなる以外ないと確信している、という事実をもっと懸念すべきなのだ。
一見すると、ユーロ安を見込むことは、以前のコンセンサスに反している。というのも特に欧州では、米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行の不道徳者がいずれインフレによって債務軽減を図る一方、欧州中央銀行(ECB)は信念を貫くというのが支配的な見方だった。このシナリオには当然、過大評価されたユーロが伴う。
では、洗練された投資家に、それと反対の意見を抱かせたのは何だったのか。ギリシャの危機か? 恐らく違うだろう。これはギリシャの問題を超え、ユーロ圏そのものがどうなるのかという話なのである。
行く手に立ちはだかる政治的、法的な制約
政治的、法的な制約がなければ、話はずっと簡単だった。ユーロ圏は自らに危機解決のメカニズムを課し、圏内の不均衡を管理する手順を設ける。そして、ことによればユーロ圏共通の債券発行に動く。
既に複数のエコノミストが具体的な提案を出している。欧州政策研究センター(CEPS)のディレクター、ダニエル・グロス氏とドイツ銀行チーフエコノミストのトーマス・メイヤー氏は、欧州通貨基金の創設を訴えた。ベルギーのイブ・ルテルム首相は、欧州の債務機関創設を提唱した。
これらはすべて賢明な提案に聞こえるが、政治的、法的な制約のために、どれ一つとして実現し得ない。
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