(2010年2月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
公聴会を前に、現地工場の従業員、ディーラー200人以上がトヨタを支持するためにワシントンに集まる〔AFPBB News〕
日本企業の中でも、米国の工場で働く現地従業員や中小企業経営者に自分たちと一緒にワシントンの政治家に言い分を訴えてくれるよう促し、200人以上の支持を得られる企業は多くないだろう。
だが、それが実際23日に起きる。米国各地にあるトヨタ自動車の工場従業員約200人と数十人のトヨタディーラーがワシントンに集まり、数百万台の車に影響した安全性の問題に関する議会公聴会を前に、トヨタを擁護するロビー活動を繰り広げるのだ。
トヨタの公聴会出席は間違いなく、2008年暮れにゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーのCEO(最高経営責任者)たちが受けた厳しい尋問と比較されるだろう。トヨタはデトロイトのライバル企業と違って政府に救済を求めるのではないが、デトロイト勢は自社の車の安全性を巡る生死の問題について質問されたわけではなかった。
公聴会に先駆けて公表された証人リストによると、トヨタの豊田章男社長の後に証言する証人の中には、トヨタ車の事故で息子を亡くした母親も含まれている。
「レクサス」を運転していたクリス・ラストレラさんはカリフォルニアのハイウエーの事故で亡くなる寸前に助けを求める緊急電話をしていた。4人が命を落としたこの事故の記録では、衝突の直前に何度も「アクセルが動かない」と言うクリスさんの声が聞かれた。
しかし、トヨタを支持するのは従業員とディーラーだけではない。少なくとも全米5州の州知事も、公聴会にかかわる議会の委員会に書簡を送り、事実上、トヨタに寛大に対応することを求めた。
米国社会に溶け込もうとする20年来の努力の賜物
こうした関係者の介入は、トヨタが20年以上も前から慎重に練って繰り広げてきたキャンペーンの産物だ。つまり、トヨタはGMやフォード、クライスラーと同じくらい米国社会の一員になっているというメッセージを訴える作戦である。
ウエストバージニア州のジョー・マンチン知事が同社の取り組みをうまく要約している。マンチン知事は今月、下院監査委員会を率いる委員2人に宛てた書簡で、「トヨタは確かな理由があって非常に尊敬されている」と述べ、「給料が高く、各種手当のついた仕事と、そうした雇用がもたらす質の高い生活に加え、トヨタは隣人としても素晴らしい企業だ」と書いた。
トヨタは南部の州を中心に、北米に14の組立・部品工場を持つ。トヨタの試算では、同社の対米直接投資は総額170億ドルに上り、年間290億ドル以上かけて米国のサプライヤーから資材やサービスを調達している。トヨタおよびレクサスのディーラー1400店を含め、合計17万2000人の米国人に雇用を提供しているという。
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