揺らぐクウェートの投資モデル

水面下で広がる投資会社の財務危機

2010.02.23(Tue) Financial Times

Financial Times

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(2010年2月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

アストン・マーティン、売却先決定か - スイス

アストンマーチンを手に入れたのもクウェートの投資会社だった〔AFPBB News

クウェートの投資会社はこの10年間、オイルマネーの流入や資金を低利で調達できる金融環境に乗じて中東地域や国際市場で活発な投資活動を展開し、英国の高級車ブランド「アストンマーチン」から不動産、株式に至るまで、象徴的な資産を次から次へと手中に収めてきた。

 しかしその後の金融危機で、流動性に乏しいことが多い資産を短期の借入金で購入するという危険なミスマッチの存在が露呈。また、資産運用手数料や売買仲介手数料、あるいは投資先企業から定期的に得られる収入といったものではなく、投資の含み益に依存する体質だったことも浮き彫りになってしまった。

 この業界の苦難は最近になって始まったわけではない。最初に問題が発覚したのは2008年末にかけてのことであり、米リーマン・ブラザーズの破綻を受けてデフォルト(債務不履行)を起こした大手投資会社2社は、リストラを経てそろり立ち上がりつつあるところだ。

 しかし金融界では、ほかの投資会社はまだ自らの債務問題の解決に取り組んでおらず、銀行による企業への貸し出しを押し下げたり、クウェート経済の成長を抑制したりする要因になっているとの見方がある。

 「投資会社は昨年苦しんだが、今年に入ってもまだ苦しんでいる」。ある大手投資会社の資産運用部門KAMCOで調査部のヘッドを務めるマイディ・ガルゼディーン氏はこう語る。「彼らは非常に大きな債務問題を抱えている」

規制をほとんど受けず、大胆な投資を繰り返した投資会社

 クウェートではつい最近まで、投資会社の事業免許を中央銀行から取得するには1500万ディナール(5200万ドル)の資本金さえあればよかった。正式登録された投資会社の数は、ここ10年間で100社に急増した。

 その大半は地元クウェートの銀行、企業、貿易商の一族などが立ち上げたもので、資金を外部から借りて株式やプライベートエクイティ(非上場株)、不動産などに投資するのが目的だった。それも中央銀行の規制や監督をほとんど受けなくて済んだ。欧米などと同様に利息をやり取りする「コンベンショナル金融」の投資会社もあれば、利息のやり取りを禁じたイスラムの教義(シャリア)に従う「イスラム金融」投資会社もある。

 すべての投資会社に共通しているのは、大胆かつ豪快な投資戦略だった。KAMCOの調査によれば、クウェート投資業界の総資産合計は2004年の165億ドルからピークとなった2007年の520億ドルへと一気に膨らんだ。

 総資産合計はその後縮小に転じ、2009年9月時点で470億ドルに落ち込んだものの、アナリストや金融業界幹部は、これらの投資会社では世界金融危機の悪影響がまだ部分的にしか損失処理されていないと口を揃える。なお、投資会社の負債は業界全体で310億ドル前後と比較的安定している。

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