(2010年2月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
北米では今のところ、顧客のトヨタ離れの兆候はほとんど見られない〔AFPBB News〕
トヨタ自動車の一連の問題を受けて、北米の多くの顧客は一瞬考え込んだものの、これまでのところライバル企業への乗り換えに人が殺到する兆候はほとんど見られない。
オレゴン州に本拠を置く市場調査会社CNWのアート・スピネラ社長は、「長くトヨタ車に乗っている人々は今回のことをかなり大きな問題だと考えているが、トヨタというブランドへの信頼は依然強い」と話す。「圧倒的多数の人は、今回のリコール(回収・無償修理)によってトヨタを見限ることはないだろう」
トヨタへの信頼は依然強いが・・・
CNWが先週行った調査では、トヨタ車を購入しようと考えていた人のうち、他ブランドに乗り換えることにした人の割合が7%となり、アクセルペダルに不具合のある可能性がある8車種が先月リコールされた直後の18%から大幅に低下した。
しかし、自動車業界が出資するシンクタンク、センター・フォー・オートモーティブ・リサーチのデビッド・コール所長は、トヨタからの逃避は恐らくゆっくり始まるが、簡単に雪だるま式に膨らむ可能性があると警告する。「自動車のオーナーはブランド忠誠心がないことで有名だ」。コール所長はこう言い、「(トヨタのモデルと)ほとんど同じような見事な製品が山ほどある」とつけ加える。
1つ見えてきた初期の危険信号は、これまでトヨタ車の最も大きなセールスポイントの1つだった下取り価格が、リコールが始まってから下落していることだ。
米国でのトヨタの自動車販売台数は、今年1月に前年同月比16%減少し、今月も再び大幅な落ち込みを記録する見込みだ。オンラインの自動車調査サービス会社トゥルーカーによると、同社のウェブサイトでは、リコールされたトヨタの8車種の検索件数が過去3週間でほぼ半減する一方、他のトヨタ車への関心も大幅に低下しているという。
だが、他の自動車メーカーでは、まだ販売が急増するには至っていない。トヨタに代わるブランドとして最も頻繁に検討されるホンダは、「市場は依然低調だ。上向いてはいるが、動きは非常に鈍い」と話している。
ホンダは、トヨタ車を下取りに出す購入者にインセンティブを出さない数少ない自動車メーカーの1社だ。ホンダの米国子会社のジョン・メンデル上級副社長は今月、ディーラーを相手に、「我々はトヨタやトヨタの顧客に対して(不幸につけ込んで)略奪するようなやり方はしない」と話した。
激戦区となる中・小型車市場、トヨタ車を下取りに出せば1000ドル割引
フォードの新型「フォーカス」はトヨタの人気車種「カローラ」と直接競合する〔AFPBB News〕
他の自動車メーカー数社は異なる立場を取っており、米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーター、韓国・現代自動車などは、トヨタ車を下取りに出した場合には1000ドルの値引きを提供している。
トヨタの苦境を一段と厳しいものにするのが、同社が最も強みを持つ分野――中・小型車――の一部で競争が激化していることだ。フォードは近く、北米で「フィエスタ」の最新モデルの販売を開始する。
フィエスタより大きな新型「フォーカス」――トヨタの人気モデル「カローラ」に対する直接的脅威――は、先月デトロイトで開催された北米自動車ショーでお披露目された際、幅広い称賛を得た。昨年夏に破産法による再建手続きが完了したGMとクライスラーも、これまで以上に中・小型車を重視している。
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