(英エコノミスト誌 2010年2月13日号)
トヨタ自動車の苦境から浮かび上がるのは、製品リコールをどう首尾よく実施するか――そして何をやってはならないか――という問題だ。
「まず、牛を溝から救い出す。次に、なぜ溝にはまり込んだかを突き止める。最後に、どんなことをしてでも牛が二度と溝に落ちないようにする」。この当たり前にも聞こえる忠告は、コピー機・プリンター大手ゼロックスのトップを務めていたアン・マルケイヒー氏が、同社を復活させるための戦いの最中にモットーにしていた言葉だ(そして彼女は会社を見事に復活させた)。
トヨタは過去のリコールの事例から教訓を学べるか〔AFPBB News〕
世界最強の自動車メーカー、トヨタ自動車もこの言葉から何かを学べるかもしれない。トヨタは深刻化する危機に対処しようともがいており、ここ数週間は危機の広がりに飲み込まれかけているように見える。
一般消費者向けの商品を製造する企業にとって、製品のリコール(回収・無償修理)はよくある話だ。ほとんどの場合は、速やかに、静かに行われる。リコールを行った企業の評判が傷つくことはほとんどなく、時として、顧客が自分たちの懸念に素早く対応してもらったと感じて、評価がかえって高まることもある。
一方、リコールが大々的に報道され、何週間も話題に上り続けたうえ、最終的には当該企業に長期的なダメージを与えるケースもある。トヨタは今、まさにその溝にはまっている。なぜこうなったのか? どうすれば抜け出せるのか? 同様の経験をした企業から何か学べないのだろうか?
最初の問いに対する答えは、トヨタ車で「意図しない加速」が起きる事例が多数発生していたにもかかわらず、トヨタの対応が嘆かわしいほど遅かったというものだ。外部に対してはガードが堅く、一方で自社の上層部には過度な服従を旨とする社風では、こうした状況を見極め、対処する態勢は取りにくい。
トヨタに対する最初の集団訴訟の1つを起こした弁護士デレク・ブラント氏によると、この問題はトヨタおよびレクサス両ブランドの少なくとも17車種で10年近く前から起きているという。何千件もの苦情申し立て――その一部には死亡事故に結びついたものもある――が米高速道路交通安全局(NHTSA)とトヨタの双方に寄せられていた。
しかし、トヨタが問題の可能性を正式に認めたのは2009年9月、身の毛もよだつほど悲惨な事故が起きた後のことだった。
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