(2010年2月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今からほんの1週間前のこと。あるドイツの政府高官は、フランス、ドイツ両政府が欧州連合(EU)内の協力について話し合うためにパリで会合を開く際、ギリシャの経済危機は議論されるのかと聞かれた。
「どうしてそんなことをする必要があるのか」と、この高官は答えた。ドイツとフランスは、ギリシャに対して同じ態度を取っていた。自国の緊縮財政計画を立案し、それを実行するのはギリシャ政府の責務であり、ユーロ圏の他の加盟国はギリシャに何をすべきか指示する立場にはない、というスタンスである。
「ギリシャ救済は必要ない」
こうした態度はドイツ政府内に広がっている。実際、ドイツは時として、ギリシャの危機がユーロ通貨圏に与える不安定化効果から目を背けているように見えることがある。
それから7日後の2月11日、EU各国首脳はブリュッセルで開かれる非公式の首脳会議でギリシャの経済危機について議論する運びになっていた。
ドイツ政府の公式見解は依然強硬だ。救済の必要もなければ、誰も国際通貨基金(IMF)に支援策を求めるべきでもない、というものだ。だが、ドイツ、フランス両政府、およびEU内で、政府高官らが認めたがるよりもはるかに長い間、ギリシャのための何らかのEU財政支援が話し合われてきたのもまた明らかだ。
ドイツは常に、自分たちには財政規律の守護者になる道義上の責務があると考えてきた。だが、ギリシャの危機にはそれ以上の意味がある。ギリシャ危機は、ユーロ圏にとって必要なことは全加盟国がEU安定成長協定に従うことであり、そうすればすべてがうまくいくというドイツの信念に挑戦するものだからだ。
公平を期するために言えば、ドイツが示す不快感や相反する兆候には少なくとも3つの理由がある。第1に、実際に投機筋を勇気づけることになるかもしれない秘密の交渉を外部に漏らしたいと思う人は誰もいない。
何かと大金を払わされてきた不満
第2に、弱い加盟国のための「救済」を意味するようなものには、どのようなものであれ、ドイツは本能的な反応を示す。ドイツは何十年もの間、EUの金庫番を務めてきた。ドイツの潤沢な資金は、解決が難しい政治的問題が生じるたびに、決まって襲撃された。スペインとポルトガルのための「結束基金」や、ギリシャとイタリアのための「域内地中海計画」などだ。
ドイツはかねて腹立たしく思っていた。英国やフランスなどの他の大国は、ドイツに比べ資金拠出がずっと少なかったからだ。
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