(2010年2月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
債務とデフレに苦しむ日本は次のギリシャなのか? 日本の金融大臣でさえ、管轄下の巨大銀行ゆうちょ銀行の資産運用について、日本国債からの多様化を進めるべきだと示唆し、代わりに社債や――よりによって――米国債を買えばいいとの考え方を示した。
こうした扇情的な発言と相前後して、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は膨れ上がる債務水準と低成長を懸念し、日本の信用格付けを引き下げる可能性があると警告した。
だが、巨大な日本国債バブル――ましてやデフォルト(債務不履行)――に関する議論は、荒唐無稽だ。確かに、日本の財政はいたって健全とは言えない。政府は経済が回り続けるよう、支出を重ねてきた。膨らむ支出は税収減と相まって、日本の債務総額をGDP(国内総生産)比200%近くに押し上げた。
人口の高齢化が進む中、この憂慮すべき数字は今後、一段と悪化しかねない。そう考えると、現在1.3%前後で推移している10年物日本国債の利回りは低く見える。市場は一体、自分たちが何を知っていると思っているのか?
日本が他国と違う4つのポイント
こうした異常な数字を簡単な説明であっさり片づけることには慎重になった方がいい。だが、いくつかの基準からして、日本は他国と異なる。第1に、債務総額の水準はミスリーディングだ。国が持つ資産を差し引いた日本の債務は、GDPの100%に満たない。
第2に、国債の元利払いのコストは低く、GDPの1.3%程度だ。これに対して、米国はGDPの1.8%、英国は2.3%、イタリアは5.3%に上っている。第3に、日本の財政には手を尽くす余地がある。何しろ、消費税率はたったの5%だ。第4に、日本国債の95%は国内投資家が保有しており、気紛れな外国人投資家には影響力がほとんどない。
実際、今もって日本の問題は過剰貯蓄なのだ。銀行は膨大な預金を抱えており、どこかに投資する必要がある。当面の間、政府は日本国債の買い手の確保に苦労することはないだろう。日本の債務問題は、家族の中で解決されていくのである。
要するに、日本は今のところ、まだ財政のブレーキを踏む必要はないということだ。むしろ、もう少しの間、緩和型の財政政策を通じて景気回復を確かなものにした方がいい。ただし、ある一点において、日本は慢心しすぎている。デフレとの戦いがそれだ。
物価の下落について、日銀ほどのんびり構えている中央銀行はほかにない。日本のデフレは下降スパイラルには至っていないものの、ある悪影響をもたらした。日本では、現金を溜め込むことが賢明な投資となっているのだ。
それと同じくらいまずいことに、GDPに対する債務比率は、その指標の分母である名目GDPと足並みを揃えて悪化してきた。日銀はもっと対策を講じる必要がある。日本国債の買い入れを増やし、一部の債務をマネタイズ(貨幣化)してもいいだろう。
日本の財政状況は見た目ほどには悪くないとはいえ、名目GDPが多少なりとも成長すればずっと見栄えがよくなるはずだ。
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