(2010年2月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ブラジルの鉱業大手ヴァーレがアフリカ大陸南東部のモザンビークで鉱山開発の準備を進めている。南米最大の経済大国であるブラジルが、アフリカの天然資源を巡る争奪戦に本格参戦する流れの一環だ。
モザンビーク中部の街テテの地下には、世界屈指の埋蔵量を誇る石炭が眠っている。数十億ドルに上るヴァーレの投資が生み出すチャンスをつかもうと、大勢の出稼ぎ労働者や請け負い業者が押し寄せ、テテは一躍、活況を呈する街になった。商機を求めて次々訪れるビジネス客のせいで、街のインフラは悲鳴を上げている。
鉱業大手ヴァーレの投資に沸くモザンビークの街
「テテに行くたびに、混乱が大きくなっている」と話すのは、アントニオ・コーティニョ氏。外国の援助に依存したモザンビーク経済を変貌させる可能性を秘めた投資案件の資金調達を手伝っている南アフリカ共和国の銀行家である。「テテは極めて大きな発展を遂げようとしている小さな街だ。きっとゴールドラッシュの最中のヨハネスブルクもこんな感じだったのだろう」
ヴァーレによる投資は、ブラジルがアフリカへの関心を強めている様子を浮き彫りにする証拠だ。アフリカ大陸との商業的な絆という意味では、中国とインドの取り組みの方が進んでおり、より大きな注目も集めてきた。
だが、ブラジルによるアフリカ投資拡大もこれと同じパターンの一環であり、古くからアフリカ大陸と関係が深かった西側諸国が、天然資源と影響力を巡って様々な新興国と競合するようになっているのである。
ブラジルのルラ大統領(右)は1期目の5年間で6回もアフリカを訪問した〔AFPBB News〕
2003年に政権の座に就いたブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、1期目の5年間に6回もアフリカを訪問した。ブラジル国内の原材料需要に押される形で、アフリカとの貿易は急増。2000年に30億ドルだったアフリカからの輸入は、2008年には185億ドルまで膨らんだ。ナイジェリアとアルジェリア、そしてアンゴラが、輸入石油の主な調達先となっている。
一方、競争力のあるブラジルの食品メーカー各社はエジプトなどに新市場を見いだし、ブラジルの対アフリカ輸出は2000年の10億ドルから2008年の80億ドルへと、8倍に急増した。
炭鉱開発から発電所建設、鉄道・港湾インフラ整備まで
モザンビークでは、ヴァーレはブラジルの建設大手オーデブレヒトと組み、炭鉱開発、発電所建設、石炭を輸出市場に届けるための鉄道・港湾インフラ整備に取り組んでいる。
年末に石炭の採掘が始まる炭鉱があるモアティゼ地区では、初期の投資額が13億ドルになるとヴァーレは見積もっている。社内の関係者らによれば、総投資額は最終的にその数倍に上る可能性があるという。
モザンビークに進出しているブラジル企業は、ヴァーレとオーデブレヒトだけではない。2カ月前、ブラジルの鉄鋼メーカー、CSNはオーストラリアの鉱業会社リバーズデールの株式の16.3%を取得した(同社にはインドの鉄鋼大手タタ・スチールも出資している)。そのリーバーズデールも、数十億ドル規模のテテ地域への投資を計画している。
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