(2010年2月6/7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
豊田章男氏は2009年6月にトヨタ自動車の社長に就任した際、自分の新しい職務について厳しい評価を下していた。同氏の祖父が1937年に創業したトヨタは、世界的な不況で販売が壊滅的に落ち込み、「どん底」に沈んでいた。豊田氏は自ら率いる新経営陣にとっては、「嵐の中の船出となる」と語った。
それから7カ月経った今、トヨタを襲った嵐はさらに悪化している――そして船長たる豊田氏はデッキの下へ避難してしまったかに見えた。
嵐が悪化する中で姿が見えなくなった船長
昨年11月以降、トヨタがフロアマットおよびアクセルペダルの深刻な欠陥を理由にリコール(回収・無償修理)した乗用車とピックアップトラックは800万台に上る。人気の8車種が販売停止に追い込まれ、同社が築いてきた品質に関する評判は地に落ちた。さらには、看板車種であるハイブリッド車「プリウス」もブレーキに関する問題に直面している。
豊田章男社長は2月5日の記者会見で陳謝したが、これで批判が収まるかどうかは分からない・・・〔AFPBB News〕
しかし、危機管理の専門家が「自動車リコールとしては過去最悪の不手際」と警告する中にあってさえ、社長の豊田氏は数週間にわたって、ほとんど姿を現さなかった。
日本時間の2月5日夜に開いた記者会見で、豊田氏はトヨタの顧客に対して「心よりお詫び申し上げます」と陳謝したが、この会見まで、同氏の姿が見られたのは、ダボス会議に出席している豊田氏を見つけたNHKがニュースで流した短い映像の中だけだった。
5日の謝罪会見も、豊田氏に批判の目を向ける人々、中でもリコール対象となった車が販売された日本以外の市場の怒りは鎮められないかもしれない。マサチューセッツ州にあるバブソン大学でMBA(経営学修士)を取得し、トヨタがカリフォルニア州に設立した合弁企業――現在は閉鎖が決まっている――で数年間働いた経歴を持つ豊田氏は、流暢な英語を話す。
だが、世界最大の車メーカーの社長である豊田氏は、海外テレビ局の取材班から出た、英語で発言してほしいとの要望に対して口ごもった。
英語でのコメント要請を予想しなかったグローバル企業
同氏のぎこちない対応以上にまずかったのは、トヨタ社内にこうした要求が出ることを予想していた人が誰もいなかったように見受けられる点だ――さらに言えば、誰も世界中の人々に広くメッセージを伝える必要性を感じてないようだった。
海外でのリコールに関する報道が抑え気味だった日本においても、豊田氏の指導力に関する疑問が表面化し始めている。
- 中国が挑む世界最大の都市化実験 (2010.03.12)
- なぜかECBが受けつけない「常識」 (2010.03.12)
- ドイツの悪夢と化したユーロ圏の危機 (2010.03.11)
- ドットコム・バブル崩壊から丸10年 (2010.03.11)
- 無力感に苛まれる日本の行方 (2010.03.10)
- ■中国イスラムテロより怖い対中債務 (03月12日)
- ■Financial Times中国が挑む世界最大の都市化実験 (03月12日)
- ■The Economistいよいよ世界に蔓延する模造品 (03月12日)
- ■日本のものづくり「できない」と思ったら成功するわけがねぇんだよ (03月12日)
- ■Financial TimesなぜかECBが受けつけない「常識」 (03月12日)


RSS
Twitter
最新記事
最新記事
SHARE
RESIZE
Small Size
Large Size
PRINT
Small Size
Large Size




