(英エコノミスト誌 2010年2月6日号)
これまで原子炉建設を独占してきた一握りの企業が、新たな競争に直面している。
原子力産業の未来は明るいようだが、業界内の秩序は急速に崩れ始めた(写真は米イリノイ州の原子力発電所)〔AFPBB News〕
原子力産業は今年1月、バラク・オバマ米大統領から予想外の後押しを受けた。大統領が一般教書演説で、「安全でクリーンな次世代原子力発電所」を建設すると表明したのである。
さらに2月1日に大統領が発表した2011年度の予算教書では、原発建設向けの融資に対する政府保証枠がこれまでの3倍に当たる540億ドルに拡大された。
米国外でも、原子力産業の前途は明るいようだ。アラブ首長国連邦(UAE)は2009年12月に、原発4基の建設に関する入札を完了した。ベトナムも2010年中に同様の契約を計画しており、近く原子炉を建設したいと考えている国は、イタリアからインドネシアまで数多くある。
しかし、400億ドルに上るUAEの契約を韓国電力公社(KEPCO)が率いるコンソーシアムが落札したことで、数十年間にわたって原子力産業を支配してきた6大企業の間に大きなショックが走った。
KEPCOは韓国の電力市場を独占する電力会社で、政府が株式の過半数を保有している。一方の6大企業とは、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)とウェスチングハウス・エレクトリック、フランスのアレバ、そして日本の東芝、日立製作所、三菱重工業だ。
政府の全面支援を受けた新興国の「国家チャンピオン」
UAEの原発建設落札には韓国政府も一役買った〔AFPBB News〕
今、ロシアや中国の企業も韓国の後に続こうとしている。既存の6社は突如、政府の全面的な支援を受けた新興国の「国家チャンピオン」企業と対決せざるを得なくなった――原子力のように事故が起きた場合に負うべき責任が大きい事業では、政府の後ろ盾はかけがえのない資産となる。
日立の原子力部門の幹部、長島広忠氏は、「彼らが勝った理由が分かったら教えてほしいくらいだ」とコメントした。
日立とGEの合弁会社はKEPCOに敗れ、同様に、アレバとフランス電力公社(EDF)、トタル、GDFスエズなどのフランス巨大企業のコンソーシアムも敗北した。
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