インド経済に死角はないのか

2010.02.08(Mon) Financial Times

Financial Times

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(2010年2月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ニューデリー市内のオフィスビルの一室で、S・K・ローンタ氏は大きな窓のそばに立ち、緑豊かなロディ・ガーデン公園を見下ろしながら満足げな表情を浮かべていた。同氏が会長を務めるインド鉄鋼公社(SAIL)が直近の四半期で純利益を倍増させたことと、事業の先行きも明るいと見られることがその理由だった。

 ローンタ会長の楽観的な見通しの根拠は、国内市場の力強さと、橋や送電網の整備に伴う旺盛な鉄鋼需要にある。インドでは、政府部門によるインフラ投資と自動車販売の増加が国内の鉄鋼消費を押し上げているのだ。

世界的な景気後退から見事に脱出

ムンバイ、全長5.6キロの海上高速道路 市内の渋滞緩和めざす

インドでは、政府部門によるインフラ投資と自動車販売の増加が鉄鋼需要を押し上げている(写真はムンバイで建設が進む海上高速道路)〔AFPBB News

 経済規模の大きな国としては中国に次ぐ高成長を遂げているインドの鉱工業生産は、今、前年同期の2倍のペースで拡大している。鉄鋼需要は昨年、13%という高い伸び率を示した。

 「この需要拡大は主に国内市場によるものだ」。ローンタ会長はこう語る。「所得が増えており、需要も様々なセクターで伸びている。この成長は向こう数四半期に限らず、この先何年も続くと我々は見ている」

 インドにはこのSAILを含め、国内事業を中心とする企業が数多く存在する。そしてこれらの企業の好業績からは、アジア第3位の経済規模を誇るインドが世界的な景気の落ち込みから見事に脱出した様子がうかがえる。

 2輪車メーカーのヒーローホンダ、携帯電話サービス最大手のバルティ・エアテル、そして化粧品などの製造を手がけるマリコは不況をやり過ごした。欧米企業の需要に依存しているIT(情報技術)関連の受託事業も盛り返しており、世界市場における存在感は以前より強まったようにも見える。

リスクを取って2ケタ成長を目指すシン政権

 これにはマクロ経済政策が大きな役割を果たしてきた。インドは今、文字通り、経済成長に賭けている。マンモハン・シン首相率いるインド政権は、インフレの昂進と過去20年間で最大の財政赤字の発生というリスクを取りながら、2ケタ成長の実現を目指しているのだ。

 この財政政策は国際社会からも称賛を集めた。例えば世界銀行のロバート・ゼーリック総裁は、インドはアジア経済の回復を主導するうえで「大きな役目」を担ったと述べている。

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