(2010年2月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
著名投資家のウォーレン・バフェット氏は数年前、潮が引いた時に初めて誰が裸で泳いでいたか分かる、という有名な言葉を残した。それが今、的を射た格言になっている。過去数カ月間というもの、各国の中央銀行が「出口戦略」を実施し始めた時に何が起きるかについて、様々な憶測が飛び交ってきたからだ。
我々には今、いくつかの手掛かりがある。イングランド銀行は2月4日、量的緩和政策の拡大を休止すると発表し、英国債の見通しに関する議論に火をつけた。だが、筆者の考えるところ、出口戦略の議論に関して最も啓発的な物語の1つは、ギリシャ国債市場を巡って最近展開されてきたドラマにある。
ギリシャ国債が急落したもう1つの理由
物事のうわべだけを見る観測筋にとっては、ギリシャ国債の価格が最近急落した主な理由は、投資家が突如――遅ればせながら――ギリシャの財政問題の深刻さに気づいたことだと思えるかもしれない。
だがこれは、物語の一端を語っているにすぎない。ギリシャの国債価格を押し下げてきたもう1つの要因は、欧州中央銀行(ECB)内で静かに進められている担保政策および出口戦略に関する、専門的だが微妙な議論だ。
欧州中央銀行(ECB)は金融調節オペの適格担保要件を緩和しているが・・・〔AFPBB News〕
米リーマン・ブラザーズが破綻した後の2008年秋、ECBは、市中銀行がどのようにして中央銀行から資金提供を受けられるかを定めたルールを緩和した。具体的には、ECBは金融調節オペレーションの適格担保の要件を緩和し、シングルAマイナス以上の債券だけを受け入れる代わりに、銀行がトリプルB以上の国債を担保として使えるようにした。
これは当初、2009年暮れ頃までの「時限」措置として打ち出されたが、ECBは昨年、この政策を2010年末まで延長した。そのため2009年を通して、ギリシャ国債を保有していている銀行は喜び勇んでECBを介してギリシャ国債を別の資産と交換した。
それがギリシャ国債の価格――ひいては市場に出回るギリシャ国債のかなりの部分を保有するギリシャの銀行――を支える助けになっていた。
ECBの出口戦略とギリシャ国債格下げのリスク
多くの観測筋は最近まで、この政策がことによると2011年以降まで再度延長されるのではないかと考えて――あるいは望んで――いた。というのも、ギリシャ国債は現在、古いECBのルールを満たす格付けを持っているものの、今年中に格下げされる可能性が十分にあるからだ。このため、ECBの体制が新たに厳格化された場合に、ギリシャ国債がそこから締め出されるリスクが生まれている。
ECBの上級職員らは今年、出口戦略の一環として、担保政策を計画通り2010年末に「正常化」する意向であると表明した。その結果、ギリシャ国債にとって重要な下支え要因が脅かされることになり、やはりギリシャ国債をかなり保有しているドイツの保険会社などの投資家の間に動揺が走った。
- 無力感に苛まれる日本の行方 (2010.03.10)
- 「欧州通貨基金」は遠い目標 (2010.03.10)
- ユーロが今後も下げ続ける理由 (2010.03.09)
- 米国の景気刺激策は無駄だったのか? (2010.03.09)
- 債務危機、ギリシャの次は日本か? (2010.03.08)
- ■The Economist財政赤字:誰が勘定を払うのか? (03月10日)
- ■Financial Times無力感に苛まれる日本の行方 (03月10日)
- ■霞が関探偵団ガソリン暫定税率、二重の公約違反の民主党 (03月10日)
- ■The Economist通貨競争:底を目指すレース (03月09日)
- ■新・地方自治論夕張の地域医療活動が映し出す日本の将来 (03月10日)


RSS
Twitter
最新記事
最新記事
SHARE
RESIZE
Small Size
Large Size
PRINT
Small Size
Large Size






