(英エコノミスト誌 2010年1月30日号)
西側諸国の景気後退が、自国の裏庭でエネルギー供給源を獲得しようとする中国の動きを加速させている。
江沢民氏が1996年に初めて中央アジアの隣国カザフスタンを訪れた時、世界第9位の広大な領土を誇る同国の人口がわずか1500万人だと知って、面白がったとされる。「あなた方は皆、互いに顔見知りなのでしょうね」。当時中国国家主席だった江沢民氏はカザフ政府関係者に冗談めかしてこう言ったと伝えられている。
13億の人口を抱える中国は、当然のことながらスケールの大きい考え方をする。そして、それこそが中央アジア5カ国――カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン――が感心するとともに、恐れることだ。ロシアと同様、彼らも極東中国の拡張主義を憂慮しているのである。
だが、ソ連崩壊から18年間、中国はほぼ一貫して、天然資源豊かな中央アジア地域での影響力を巡ってロシアと米国が熾烈な競争を繰り広げるのを傍観してきた。ところが2009年、急成長する自国経済のエネルギー需要が高まり続ける中で、中国は西隣の裏庭に存在する新たな好機に目覚めた。
厳密に言えば、好況に沸く中国がこれまで中央アジアを無視してきたわけではない。単に優先課題が別のところにあっただけだ。
恐れられながらも歓迎される中国マネー
世界的な金融危機によってロシアと米国が財政に窮するようになると、中国は財布の紐を緩めて中央アジア諸国に救いの手を差し伸べた。そして中国マネーは歓迎されている。中央アジアの観点からすれば、中国からの融資は、西側諸国のそれ以上に利点がある。煩わしい政治的な制約を受けないからだ。
例えば、中国は昨年6月、トルクメニスタンに対し、アフガニスタンとの国境に近くに位置する同国最大のガス田「南ヨロタン」の開発費用として40億ドルの融資を行うことに同意した。これは30年契約の一環であり、中国はゆくゆく年間400億立方メートルのガス供給を受けることになる。
中国は上海協力機構(SCO)加盟国の経済支援のために100億ドルの融資を行う(写真は昨年ロシアで開催されたSCO首脳会談の様子)〔AFPBB News〕
同じ月に江沢民氏の後継者である胡錦濤国家主席は、中国、ロシア、中央アジア4カ国で構成される安全保障フォーラム「上海協力機構(SCO)」に対し、世界的不況の煽りで苦境に陥ったSCO加盟国の経済を立て直す名目で100億ドルの融資を行うと発表した。
11月には中国最大の石油・ガス供給企業がカザフの石油・ガス会社と共同で、カザフの石油大手マンギスタウムナイガス(MMG)を買収した。それと引き換えに中国は昨年前半に、同国に100億ドルの融資を行っている。
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