(2010年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
フランス人は頭がおかしくなったのだろうか? 世界中のエリートがダボスのスキーリゾートで雪の中をさまよう――あるいは重い足取りで歩く――中、一部の投資家はこんな疑問を抱いたかもしれない。
フランスのニコラ・サルコジ大統領は1月27日夜、同国の指導者として初めてダボス会議で基調演説を行い、会場に集まったエリート層の脚光を浴びた。
「通貨ダンピングは容認できない」
ニコラ・サルコジ大統領が新ブレトンウッズ体制について語るのは初めてではないが・・・〔AFPBB News〕
そして、大統領の演説は、案の定と言うべきだろう高尚で印象的なレトリックと、国際会計基準(サルコジ大統領は明らかに、国際会計基準のせいでフランスの銀行が不利な状況に置かれると考えている)に関する意外なほどに専門的な論評が混ざりあった一風変わったものだった。
しかし、最も印象深かった宣伝文句は、ブレトンウッズの国際通貨協定の復活を求める訴えだった。
「戦後の繁栄はブレトンウッズによるところが大きかった・・・我々は今、新たなブレントンウッズ体制を必要としている」。サルコジ大統領が演説の中でこう宣言すると、ダボスの聴衆の多くは促されるように立ち上がり、盛大な拍手を送った。さらに大統領は、「我々は自由貿易を説きながら、その一方で通貨ダンピングを容認することはできない」と述べた。
さて、記憶力のいい皮肉屋なら、フランス人は何度もこの手のことをつぶやいたことがあると指摘するかもしれない(そしてサルコジ大統領自身もここ数カ月間、何度か「ブレントンウッズ」の名前を使った)。
また、サルコジ大統領がダボス会議でこれを発表したという事実は、どんな明確な政策イニシアチブにも増して――折しも米国が一段と混迷を深めているように見える時に――世界の知的議論を方向づけようとするフランスの決意について多くを物語るものだ。
時代遅れに見えた考え方が次々復活
しかし、2つの理由で、サルコジ大統領が話したことを完全に無視するのは愚かなことかもしれない。
1つは、フランスが来年G20の議長国を務める予定となっており、フランス政府の高官らは、この機会を「ブレトンウッズ」論議を前進させるための踏み台として使う決意を固めているように見えることだ。実際、いくつかの具体的な提案は既に密かに議論されている模様だ。
2つめの理由は、政治家が有権者の怒りという高まる潮流を食い止めようと四苦八苦する中で、ここ数カ月間、2000年代半ばには時代遅れのように見えた――頭がおかしいとまでは言わないまでも――様々な考え方がカムバックを果たしたことである。
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