ただ、ここで誤解してほしくないのは、中国で開発が進むEVは、日本や欧米企業が作るようなハイテクではない、という点だ。
「現在、内陸部の農村では、数千円程度の小型バッテリーを搭載したローテク電気自転車がブームとなっている」(同)
電気自転車といえば、日本国内でも普及している電動アシスト付きの自転車を想像しがちだが、全く違う。「スイッチのオンオフしかできない工作レベルのシロモノだが、職場の往復程度ならば十分に使える製品」(同)なのだとか。
中国政府とメーカーが考えるEVも、「大型の廉価モーターを搭載した簡易版で、電気自転車の延長線上にあるようなもの」(同)というのだ。「日系企業のEV事業はコケる」と言い放った電機部品メーカートップが手掛けようとしているのは、こうした簡易版EV向けの部品なのだ。
「先進国目線」からいかに脱しきれるかがカギ
インドのタタ・モーターズが価格20万円の「ナノ」を発売した際、先進国メーカーの幹部たちは口を揃えて「安全性に問題アリ」などと批判した。実際、エアコンやパワーウインドーなど、今や当たり前となった装備は一切なく、先進国ではとても売れる商品ではないのは明白だ。
だが、視点を新興国に移すと、事情は全く異なるのだ。「今まで1台のバイクに4~5人が群がるように乗っていたインドの消費者にとって、ナノの安全性は抜群であり、しかも手の届く商品」(外資系運用会社アナリスト)なのだ。
EVも然りだ。「先進国が技術力を競い、投資を重ねれば、商品にフィードバックされる価格は、必然的に先進国でも割高なものになる。この間、新興国では安価な商品が幅を利かせ、先進国メーカーが入り込む余地などなくなる」(同)という構図だ。
先の電機部品メーカーのトップの真意とは、「脱先進国目線」に他ならない。先進国の常識をそのまま当てはめて新興国ビジネスを展開すれば、新たな収益源を確保するどころか、先行投資の回収もおぼつかない大きな痛手となる公算さえある。
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