(2010年1月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
食料安保は今や、国家にとってエネルギー安保と並ぶ重要な問題となっている〔AFPBB News〕
第2次世界大戦中、英国の食料供給はドイツ海軍のUボート(潜水艦)によって途絶の危機にさらされた。そこで政府は「勝利のために耕そう」と記したポスターを刷り、野菜を自分で育てるよう国民に促した。
そんな心配はもう遠い昔の話だと思われるかもしれないが、どうやらそうでもないらしく、ここへきて食料安全保障の問題が再び重要議題となっている。
英国のヒラリー・ベン環境・食料・農村地域大臣は今月行ったスピーチで、次のように発言した。「これは今や自明の真実だ・・・我々はもう、食料の安全保障は確保できて当然であると思ってはいけない。我が国の安寧にとって、食料安保はエネルギー安保と同じくらい重要だ」
食料・エネルギーの供給を国際市場に依存していいのか?
エネルギーについては、英国人は食料以上に、オープンな国際市場に供給を頼っていることに疑問を感じ始めている。実際、今月は天然ガスの供給が極端に少なくなったため、大口需要家である工場など100カ所近くでガス供給が一時的に停止された。
英国人がそうした心配をするのは、別に変わり者だからではない。それどころか、英国のような自由貿易主義の国でさえ食料とエネルギーの供給を心配しているという事実は、より大きな世界的トレンドを暗示していると言える。
世界では今、大国がエネルギーや食料、そして一部では水へのアクセスを確保しようとする動きを見せている。グローバリゼーションという貿易を基盤としたシステムへの信頼感――必要なものはオープンな国際市場でいつでも調達できるという考え方――が揺らぎ、各国が供給源を確保しようと躍起になっている。
天然ガスなどのエネルギーにしても、オープンな国際市場からいつでも調達できるとは限らない・・・〔AFPBB News〕
まさかの時のために缶詰を買って地下室にしまっておく人々と同じように、あちこちの国が最悪の事態に備えようとしているのだ。
中国の国営石油会社は最近、アフリカをはじめとする世界各地で油田やガス田へのアクセスを確保しようとしており、競合する欧米のエネルギー大手と入札で激しく火花を散らしている。
米国では「エネルギー面での自立」を目指すことが党派を超えた夢になり、穀物由来のバイオ燃料の大増産につながった(そして、意図せずして食料価格を上昇させる一因となってしまった)。
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