世界が注目すべき現代版ギリシャ悲劇

2010.01.21(Thu) Financial Times

Financial Times

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(2010年1月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ギリシャのポセイドン神殿に光る稲妻

厳しい財政危機に見舞われているギリシャは、統計の操作も露見し、総スカンを食らっている〔AFPBB News

ギリシャ政府は、昨年国内総生産(GDP)の12.7%相当額に達したと見られる財政赤字を、2012年には同3%相当に圧縮すると公約した。実現しそうかと問われれば、かなり難しいというのが答えになるだろう。

 しかしギリシャは、国家財政の世界における炭鉱のカナリアに過ぎない。ユーロ圏ではギリシャのほかにも、数カ国が財政赤字を削減せよという圧力にさらされている。この圧力は経済の脆弱なユーロ圏加盟国、さらにはユーロ圏全体、そして世界経済にどんな影響を及ぼし得るのだろうか?

 統計数値を何年も粉飾して仲間の信頼を裏切ったギリシャは今、総スカンの状況にある。しかし、たとえギリシャがその責めの大半を負うとしても、同国が取り組んでいる課題は非常に大きい。

 特に重要なのは、例えば英国のように巨額の財政赤字を抱えるほかの国々と異なり、緊縮財政による悪影響を金融緩和や為替レートの切り下げで緩和するという手法をギリシャが利用できないことである。

 ベルギーのリューベン大学に籍を置くポール・デ・グラウウェ教授が今週、本紙(フィナンシャル・タイムズ)への寄稿で指摘したように、ギリシャが参加しているユーロ圏は、規模の大きな経済単位の中で最も金融を引き締めている。また経済協力開発機構(OECD)によれば、ユーロ圏内の今年の実質最終需要は伸び悩む見通しで、ドイツの最終需要は0.2%の伸びにとどまると予想されている。

 またユーロは1999年の導入以降、実質ベースでほかのどの主要通貨よりも強くなっている。さらに悪いことに、ギリシャやその他のユーロ圏周縁国は圏内での競争力を失ってしまった。例えば、ギリシャの単位当たり労働コストは2000年初めから2009年第2四半期にかけて、ドイツのそれに対し23%も上昇している。ほかの周縁国も同様だ。

深刻な景気後退をもたらす緊縮財政

 加えて、仮に緊縮財政の実行がギリシャ国債とドイツ国債の利回り格差(スプレッド)――ギリシャのデフォルトリスクの目安になる――を縮小することになっても、同国の財政や経済が享受する恩恵は大きなものにはならない。

 確かに、今週初めにはギリシャ国債のスプレッドが2.74%にまで拡大した。しかし、このスプレッドが拡大するようになってから、まだ2年しか経っていない。公的部門の支払金利の低下が民間部門の支払金利にもたらす恩恵も、かなり小さなものになるだろう。

 こうした厳しい制約を考えると、大規模な構造的財政引き締めは深刻な景気後退をもたらす。そうなれば、循環的な財政赤字は間違いなく増える。

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