(英エコノミスト誌 2010年1月16日号)
米国は自国の金融機関救済策が安上がりで済んだことを喧伝している。それは楽観的すぎるかもしれない。
TARPによる銀行救済コストは最終的にGDPの1%足らずで済む?〔AFPBB News〕
史上最悪の金融危機が、最も安上がりな危機の1つでもあったということが、果たしてあり得るのだろうか?
米財務省の高官らは今、2008年の危機の真っ只中に創設された米国の不良資産救済プログラム(TARP)が、最終的に納税者にGDP(国内総生産)の1%足らずのコストを負担させるだけで終わると考えている。
ちなみに、国際通貨基金(IMF)の試算によると、過去のシステミックな銀行危機は平均して、解決するのにGDP比13%相当のコストがかかった。米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長はタイム誌に対し、「これは非常に優れた投資収益率だ」と語った。
救済策に対して強気な見方をしているのは米国人だけではない。世界中の政府高官が、今回の危機は過去の災難より安く済むと考えている。
予想を下回る銀行救済コスト
英国政府は昨年12月に公表した予算編成方針で、自国の救済策のコストが最終的に80億ポンド(130億ドル)、GDPのわずか0.5%で済むと述べている――ロイズ・バンキング・グループとロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に対する潜在的な損失だけでGDPの20%近くに達していたことを考えると、驚くべき偉業である。
TARPは、金融システムを救済するために最大7000億ドルを拠出する権限を連邦政府に与えた。最終的な請求書の金額はかねてそれより少なくなると想定されていたが、実際どれだけ少なくて済むかは、時間を追うごとに目を見張るものになっている。

昨年8月には、バラク・オバマ政権の予算局が3410億ドルのコストを推定していた。数週間後に発表が予定されている政府の来年度予算では、その額が1170億ドルまで下方修正される見通しだ(図1参照)。
政府は、最終的な数字が900億ドル近くになると考えている。
この損失総額はほぼ全面的に、自動車メーカー――ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーおよび両社の金融子会社――とアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対する回収困難な資金拠出、および住宅ローンの条件変更を支援するための住宅所有者への補助金によって説明される。
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