デトロイトの新たな君主

マルキオーネ氏が挑む不可能な任務

2010.01.15(Fri) Financial Times

Financial Times

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(2010年1月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

北米国際自動車ショー、注目の車種が続々登場

北米自動車ショーに展示されたフィアットの「500アバルト」〔AFPBB News

セルジオ・マルキオーネ氏は注目の的になることを好む。今週デトロイトでその望みがかなった。筆者が北米国際自動車ショーで最初にクライスラーフィアットのCEO(最高経営責任者)を見かけた時、彼は大勢のカメラマンに囲まれ、ナンシー・ペロシ米下院議長に「フィアット500」を見せびらかしていた。

 ペロシ氏には注意を払うだけの十分な理由があった。バラク・オバマ大統領の自動車タスクフォースが自力では再建できないと判断した会社を復活させるマルキオーネ氏の手腕に、米国政府は120億ドルを賭けているからだ。

 マルキオーネ氏がいなければ、米国政府は、ビッグ3の中で一番小さな自動車メーカーがチャプター11(連邦破産法第11条)の適用で再建を図るために資金を提供することはなかったかもしれない。

 多くは、マルキオーネ氏がフィアットで成し遂げた企業再建をクライスラーで繰り返せるかどうかにかかっている。同氏は経営が傾いていたフィアットを、世界のライバル企業に肩を並べるところまで行かなくとも、安定させることに成功した。

 「我々の評判と信用が(クライスラー再建に)かかっている。我々は、私の命を含めて、あらゆるものを危険にさらした」。マルキオーネ氏は筆者にこう語った。

 ジャンパー姿のマルキオーネ氏は、自信喪失とは縁がない。同氏は最近のスピーチで、「共和国における第一原理への回帰は、時として1人の人物の単純な美徳に起因する」というマキャベリの教えを引用した。マルキオーネ氏は、自分をその人物と見なしている。

成功をどう定義するか

 しかし、マルキオーネ氏が成功するかどうかは、その目標をどう定義するかにもよる。もしそれが、クライスラーの経営を安定させ、製品ラインアップを一新し、70億ドルの政府資金を返済し、例えば2011年に新規株式公開(IPO)で同社を再浮上させることであれば(どれも取るに足らない功績ではない)、同氏は何とか成功するだろうと筆者は考える。

 だが、成功がマルキオーネ氏自身の条件――クライスラーフィアット連合をフォード・モーター、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン(VW)などと並ぶ世界的な量産車メーカーのプレミアリーグに昇格させること――に基づき定義されるなら、成功は難しいのではないか。何しろマルキオーネ氏の帝国は、世界を征服するには国内ブランドの寄せ集めの感が強すぎる。

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