(2011年10月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
フィルム時代には富士フイルムとともに世界を独占したコダック〔AFPBB News〕
先週、イーストマン・コダックの株価が6割以上急落した時にほとんど論評されなかったことは、残念だが意外ではなかった。
何しろ、かつて一大企業グループを形成したコダックの凋落は長く続いてきた。株式時価総額が2億ドル余りまで落ち込んだ今、投資家はもう同社のことなど気にしなくなっている。
通説に従うと、コダックは単にデジタル時代の新たな犠牲者に過ぎない。これは半分しか真実ではない。より有益なもう半分の真実は、デジタル時代とはやや意味が異なる破壊的技術という概念にかかわるものだ。
正確に定義すると、破壊的技術とは、既存バージョンよりも安く、当初は性能が劣る技術のことだ。
既存企業に文化的な問題を引き起こす破壊的技術
確立された大企業にとっては、破壊的技術は深刻な文化的問題を引き起こす。というのも既存企業は実現可能な最高品質で顧客が求める製品を提供することで、今の地位を築いてきた。安くて質の低い代替技術に直面した既存企業は、課題に取り組むかもしれないが、そうした新技術に経営資源をつぎ込むことは性分に合わないのだ。
こうして機械式掘削機のメーカーはバックホー・ローダーの脅威に立ち向かえず、高炉大手はスクラップから鉄鋼を生産する電炉メーカーに不意打ちを食らった。どちらの製品もニッチ市場向けで、本物を買う余裕のない顧客のためのものだった。こうした技術が安さを保ちながら品質的に同等になる頃には、旧来メーカーが対応するには、もう手遅れだった。
こうした事例は、米国の学者クレイトン・クリステンセン氏が1997年に名著『イノベーションのジレンマ』で列挙している。奇しくもコダックの株価は同じ年に94ドル25セントの史上最高値をつけた。9月30日の終値は78セントだ。
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