(2009年12月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
クリスマスのイルミネーションが施されたスペイン・マドリードの街並み〔AFPBB News〕
クリスマス前のマドリードには、悲観と陽気さが奇妙に入り混じった空気が漂っている。
一方では、不安を抱くスペイン人は自分たちが過去50年間で最悪の経済危機に見舞われていると言われ、雇用の先行きを心配している。その一方で、今も職に就いている人々は、かつてないほど消費に回せるお金を持っているのだ。
クリスマス休暇を控えて、マドリード市内のレストランが騒々しいながらも多少神経質な様子の客でにぎわっているのも不思議ではない。
失業率は18%に達したが、多くのスペイン人の暮らし向きは快適
暗澹たる経済情勢と活発な個人消費という奇妙な組み合わせの理由は、秘密でも何でもない。失業率は急上昇し、労働力全体の18%に達したが、恐慌の再来を防ぐべく世界中の政府が取った緊急対策のおかげで、各国経済は流動性が潤沢で、金利(そして月々の住宅ローンの返済)が歴史的な低水準に低下した。物価上昇率は低いか、マイナスだ。
バルセロナに拠点を置くエコノミストのエドワード・ヒュー氏が先週指摘したように、「スペイン社会の3分の2は、今ほどいい生活を送ったことがない」。そして、湯水のように経済にカネをつぎ込むスペインの景気対策は、英国あるいは米国で取られた対策と本質的に同じだ。
だが、マドリードを覆う空――それを言えばワシントンやロンドン、アテネ、ダブリンの上空も同じ――は日増しに暗くなっている。
野心的な支出計画をもって危機に迅速に対応した各国政府は、今、異様なまでに大きな年間財政赤字に見舞われている。赤字額は最大でGDP(国内総生産)比10%にも上り、各国は膨らむ一方の債務を背負い、国債を買う投資家からは懐疑的な目を向けられている。
フィッチ・レーティングスがギリシャ国債の信用格付けを引き下げ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がスペインの格付け見通しを引き下げたのは、このためだ。
膨れ上がった財政赤字を削減するという難題
景気回復が近いと言うサパテロ首相だが・・・〔AFPBB News〕
これらの政府が早急に歳出を削減し、税率を引き上げる必要があることは誰もが知っているが、政治的、経済的な理由から、必要な薬を処方することはひどく難しい。金利が上昇し始めたら、なおのことである。
スペインの左派政権を率いるホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、今年危機が最悪の状況に達していた時に、公務員やその他の労働者に金銭的な痛みを背負わせることができなかった。先週、同氏はスペイン国民に対して、「経済成長の列車はすぐそこまでやって来ている」と快活に述べた。
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