前回に引き続き、「現地現物」の説明として、「バラツキ」をテーマにお話を進めます。

 自然界の「バラツキ」というと、筆者はなぜか「石」を思い浮かべます。足元に転がっている小石から、河原の石、岩山など、同じ「石」といいながら、大きさも形状も材質も実に様々です。人類はこのすこぶる「バラツキ」の大きな「石」を数万年前から使いこなしてきました。その使い方のいくつかを基に、「バラツキ」に対処するためのヒントを探ってみましょう。

 まず、日本庭園をイメージして下さい。縁側から庭先に出るとき、上面が平らな沓脱石で下駄を履きます。庭に降りると、そこには砂利が敷かれています。さらに進むと、苔の間に平たい飛び石があります。その先には、大きな自然石を組み合わせて山と滝を表現し、白い砂を敷きつめて池を表現した枯山水があります。

 このように日本庭園では、天然石のあるがままの姿を大切にし、色のムラや割れ目までを持ち味として生かして使い、癖のある歪んだ形の方が味があるとして好まれ、その石の持つ個性を生かして、適材適所に配置して美しい庭を作り上げています。それゆえ、庭の出来不出来は庭師の腕にかかっているのです。

石を積み上げて石垣をつくる2通りの方法

  庭を「職場」、石を「人」、庭師を「管理職」に置き換えると、大変示唆に富んだ話になります。

【写真1】 会津若松城の城壁(筆者撮影、以下同)

 石と人というと「人は城、人は石垣」という言葉があります。石垣について考えてみましょう。

 【写真1】は有名な会津若松城の石垣です。見ての通り、大小様々な石でできています。石同士をキチンと密着させて積むために加工してありますが、できるだけ大きさを生かして使っています。

 大きな石は、運ぶのにも、加工するにも、積み上げるにも大変な労力を要します。しかしその重量ゆえに、出来上がった石垣が頑丈になります。さらに大きな石は見るからに迫力があり、その城の権威を高めます。城普請に当たって、家臣は忠誠心の証しとして大きな石を寄進したといいます。

 さらに、大きな石同士を密着させるのは大変なので、大体合わせておいて、合わない部分は現物合わせで小さな石を加工して挿入しています。さらに敵兵がよじ登れないように、手がかりになりそうな穴も埋めています。