(2009年12月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本経済は戦時体制下にある。第2次世界大戦終了後初めて、日本政府は税収を上回る規模の国債を発行する。しかも、7兆2000億円(GDP=国内総生産=の1.5%相当)に上る新たな経済対策は、この状況を生んだ理由の1つに過ぎない。
追加の経済対策は日本経済が二番底をつけるのを防ぐために練られたものだが、当の政府でさえ、追加のお金がどこから出てくるのか確信が持てないように見える。
国の債務総額がGDP比200%に迫ろうとしている日本は既に、世界の主要経済の中で最大の債務大国だ(これに対して、12月8日に格付けを引き下げられたギリシャの国債は、GDP比120%程度)。
日本が直面する「債務の罠」
日本が直面しているのは、「債務の罠」に陥る危険である。10年物国債の利回りが、例えば1.5%前後だとすると、日本はただ金利支払いを履行するためだけに、基礎的財政収支(プライマリーバランス)をGDP比3%の黒字にしておく必要がある。
山のように積み上がった債務を削減するためには、財政黒字をもっと増やすか、さもなくば成長を加速させる必要がある。いずれどこかの段階で、政府は歳出を削減しなければならない――もっとも、それは今ではない。
こうした力学のおかげで、日本国債の空売りは最近人気のトレードになっている。日本経済が刺激されるか(その場合、日本は国債をもっと発行せざるを得ず、利回りは上昇する)、日本経済が回復するか(その場合、今のような低利回りは理にかなわなくなる)、どちらにしても勝算が見込めると踏んでのことだ。
(もっとも、2%のデフレを考慮すると、日本国債の実質利回りはかなり高くなる)
債券トレーダーは過去にも頻繁に、日本国債の特異性に叩きのめされてきた。長年、貯蓄率が高かったために、地元の買い手に事欠かなかったからだ。しかし今、人口が高齢化するにつれ、貯蓄率は可処分所得の2.2%と、米国を下回る水準まで落ち込んでいる。
邦銀の購入意欲にも限界
日本の銀行が救いの手を差し伸べ、穴を埋めてくれる可能性はまだある。だが、アンドリュー・ハント・エコノミクスの試算では、邦銀は既に国債発行残高の約44%を保有しており、その額は銀行の総資産の20%相当に上っている。となれば、銀行が国債をさらに購入する意欲は限られているかもしれない。
日本国債の先行き、そして国債を保有する投資家の先行きは、暗いように見える――金融安定理事会(FSB)が先にまとめた、システミックリスクとなる世界の銀行24行のリストに、日本の銀行が3行含まれている理由がこれで分かるというものだ*1。
*1=FTの報道によると、FSBは世界30の金融機関をリストアップした。そのうち銀行は24行で、三菱UFJ、みずほ、三井住友が名を連ねている。銀行以外の日本の金融機関では野村もリストに含まれている
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