特集 航海時代

地を読み、時を読む台湾企業の海外進出

ベトナムでの躍進に見る企業家精神

2009.12.18(Fri) 天野 倫文

アジアのものづくり

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少子高齢化が叫ばれる日本をよそに、東南アジアに人口の8割が40歳以下、平均年齢26歳という若さあふれる国がある。ベトナムである。

 人とバイクが雑多に入り乱れる市内、行商人が野菜や魚を運び、街角では市場が催される。家族3人がホンダのカブを相乗りして、家路に向かう。若い母親が子供を2人抱えて家事に勤しむ。

 平均月収はわずか8000円程度。しかし人々の顔は明るく、生きる気力と逞しさに満ちている。混沌とした中にある若さと成長意欲、勤勉さ、どこか古き良き日本の姿を思い起こさずにはいられない。

 「ベトナムで若い人と接していると、自分の息子たちと接しているような感覚になる。自分の持っているものを伝えたいという気になる」。ある日系企業の駐在の方の言葉がとても印象に残っている。企業人にとってそれほど魅力のある国なのだろう。

 ベトナムに住む9割の人口は京(キン)族である。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の中には経済活動の中枢を華僑が掌握するケースが少なくないが、ベトナムでは京族が政治経済を押さえており、政治は安定していると言われる。

 ベトナム戦争という不遇の時代、ベトナムからは多くの人が海外に亡命した。海外に渡った人々は、故国を忘れることなく海外から送金を続けてきた。その金額が国際収支統計上相当に上るという。

ベトナムに投資するのは東アジア諸国

 ベトナムは日本企業の海外投資先として極めて注目度が高い。しかしこうした日本側の認識は、ベトナム側の統計を見ると、若干印象が変わる。

 現在、ベトナムでは1990年代半ば以来の2度目の投資ブームを迎えている(図1)。外国投資の伸びはGDPの牽引役となり、現在8%を上回るGDP伸び率を示している。

 図2は1988年から2007年8月までのベトナムへの累積投資統計である。日本から見てベトナムへの注目度はそれなりに高いが、ベトナム側から見ると日本は第4番目の投資国である。

 投資国には特徴がある。まず第1位から第3位を占めるのが韓国、シンガポール、台湾などの旧NIES(新興工業経済群)の国々である。それから米国やヨーロッパ系のプレゼンスは極めて低い。このように見るとベトナムに来る海外投資の多くは東アジア内から来ており、アジア分業の中に位置づけられている。

 主要国の投資をベトナム内の地域別に整理するとさらに興味深い(表1)。日本、韓国、シンガポールはハノイを中心とする北部とホーチミンを中心とする南部にまんべんなく投資をしている。

■表1:主要国の地域別投資動向(比率)     ※数値は金額ベース・累計値の比率
  日本 台湾 シンガポール 韓国
 北部  45 19 48 43
中部 10 4 12 4
南部 45 77 40 53
合計 100 100 100 100

出所:ジェトロホーチミン事務所

 これに対して台湾は政治の影響力が強い北部を避け、南部に投資を集中させている。南部については「台湾企業の動きを見れば南部が分かる」状況になっている。

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