(英エコノミスト誌 2009年12月5日号)
先進国と発展途上国はコペンハーゲンで互いに譲歩して取り決めを結ぶ必要がある。そのうえで、炭素排出権価格の設定に注力しなくてはならない。
サミットを控え、コペンハーゲン市庁舎前の広場で人文字を作り、大気中の二酸化炭素濃度を350ppm以下に抑えるよう訴える人々〔AFPBB News〕
世界が取り組むべき緊急の問題が山積しているこの時期に、100人余りの世界の指導者がコペンハーゲンで12月7日から始まる会議に出席し、2週間にわたって気候変動に関する京都議定書の刷新に取り組むというのは、いささか放縦に思われるかもしれない。
会議では、地球を救うという大量の美辞麗句と、ダークスーツを着て深刻な面持ちをした政治家たちの無数の写真のほか、事が計画通りに運べば、気温の上昇を避けるために排出ガスを削減する合意が得られるだろうが、気温上昇は実は大したことはなく、自然に調整される程度のものだったと判明するのかもしれないのだ。
そうなるかもしれないが、そうはならないかもしれない。というのも、気候変動の結果については、人を説得して投資させるのが難しい。気候変動の悪影響が不確かであるように、それを回避するメリットも不確実だからだ。だが同時に、不確実だからこそ、人類がこの問題を真剣に受けとめる必要があるとも言える。
もし気温上昇の幅が確実に2~3度程度に収まると分かっているなら、それに甘んじるという選択もできるだろう。だが実際は、一体どれだけ気温が上昇するか分からない。この問題に関して科学的コンセンサスを確立するために国連が設立したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、今世紀末までに1.1~6.4度の幅で気温が上昇すると予測している。
この範囲の下限なら、気温の差は人が気づかないくらいだろう。一方で上限まで上昇するなら、世界がどんな姿になるのかという予想は、むしろSF小説に近くなる。
この種の大惨事を避ける恩恵は計り知れないほど大きいが、それを実行する費用が莫大になるのは望ましくない――政策がきちんと設計されていれば、世界の総生産の1%程度で済むはずだ。本誌(英エコノミスト)は、世界は温暖化対策にこの程度は捻出すべきだと考える。実際、各家庭は所得のうち自宅の災害保険にこのくらいの割合は支出するのだから。
分担と信頼
とはいえ、気候変動の問題が取り組むに値すると合意することは、実践に至る長い道のりのささやかな一歩にすぎない。京都議定書の基となった国連気候変動枠組み条約が1992年に調印されて以来、世界の二酸化炭素(CO2)排出量は3割以上増加した。
問題は低炭素技術の欠如ではない。電気は、原子力でも、水力でも、バイオマスでも、風力でも、太陽エネルギーでも作り出せる。自動車やトラックは電気やバイオ燃料で走行できる。また、経済の問題というわけでもない。世界の経済生産の1%という金額は、価値あるプロジェクトに投資するには手頃と言っていい。これに対して、銀行の救済には世界総生産の約5%が費やされた。
つまり、この問題は一般に考えられているよりも単純かつ安上がりに解決できる。だが人類は、費用をどのように分担するかについて、自国内と多国間の両方で合意しなければならない。
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