(英エコノミスト誌 2009年11月28日号)
日本はまだ、債務が原因で極貧に陥る運命と決まったわけではない。
それは今、巷で一番話題のショーだ。人々は行列をなし、靴をスリッパに履き替え、テレビカメラが回っている体育館に入る。彼らが見にきたショーは、人気テレビ番組「ドラゴンズ・デン」(日本で放送された「マネーの虎」の英国版)とよく似ている。
しかし、大事なプロジェクトへの出資を求めるのは、起業家ではなく官僚で、承認か却下かを決めているのは政治家だ。これが日本流の財政均衡術である。
爪楊枝を使って大きな穴を埋められるか
事業仕分けによる無駄の削減では赤字は埋められない〔AFPBB News〕
鳩山由紀夫首相率いる新政権は、大規模な支出計画を掲げて政権の座に就いた。その財源については、ライバルである自民党を半世紀も政権の座にとどまらせるのに一役買ってきたような「無駄な支出」の削減により確保したいと考えている。
テレビ視聴者の反応を見る限り、一般国民は感銘を受けているようだ。問題は、日本の財政赤字が2010年にGDP(国内総生産)比10%、額にして約50兆円に届こうとしているという点にある。事業仕分けのようなジェスチャーは、言ってみれば、爪楊枝を使って大きな穴を埋めようとするようなものだ。
つまり、経済成長が力強い回復を見せるか、政府が支出公約の一部を断念しない限り、日本は財源不足を補うために、来年度はさらなる国債発行を行う必要に迫られる恐れがある。
政府の借り入れ増加観測から、このところ国債市場は不安に怯えている。この不安は、来年度には総額ベースでGDPの2倍に達すると予測されている日本の公的債務の大きさを反映したものだ。純額ベース(政府の金融資産を差し引いた値)では借入金は小さくなるが、それでも経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最高レベルにある。
膨れ上がる債務返済コスト
最近、国債の利回りがじわじわと上がったことを受け、ウォール街のいくつかの銀行は、債務返済コストが日本の大きな障害になる恐れがあるとの警告を発した。デフレ圧力の高まりを示す証拠と、人口が減りゆく日本は債務を返済するのに十分な成長を維持できなくなるという予測が、こうした主張を補強する材料になっている。
例えばJPモルガンは、日本の10年物国債利回りが今後10年間でわずか1ポイント上昇するだけでも(同時に社会保障をはじめとする財政支出の結果、財政赤字が年々増え続けるなら)、累積債務の増加により、政府の返済コストは3倍に膨れ上がると試算している。
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