(2009年11月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界最大のニンニク生産国である中国でニンニクバブルが起きている〔AFPBB News〕
ただでさえ不動産バブルの懸念に苦しめられている中国が、今、もっと身近な食材の価格高騰に見舞われている。ニンニクの高騰である。
中国は世界最大のニンニク生産国だが、北京などの大都市では、ニンニクの卸値が今年3月以降、最大で15倍にも跳ね上がっている。
ニンニクは新型インフルエンザに効果があるとされ、学校が子供たちに食べさせるためにニンニクを買い占めている。一方で、供給は減少している。金融危機でニンニク価格が暴落したことを受け、中国をはじめとした生産国の農家が作付けを減らしたためだ。
チューリップバブルを彷彿させる昔ながらの投機
裕福な商人が有り金をはたいて球根を買った16世紀のオランダのチューリップバブルを思わせるようなバブル現象だが、ニンニクバブルの原因は需給逼迫だけではなく、昔ながらの投機もその背景にあるかもしれない。
中国の大手卸業者から情報を収集したモルガン・スタンレーの中国ストラテジスト、ジェリー・ロウ氏は、国内にだぶついている流動性を手にした投機筋が、比較的規模の小さなニンニク市場に流れ込み、相場を操縦していると話す。
ロウ氏の見解は、ニンニクの一大産地である山東省金郷からの報道とも一致する。この地域では、ニンニクの売買が急増した結果、ATM(現金自動預け払い機)の現金がすっかり枯渇したという。
「倉庫1つと大量の現金、それにトラックが数台があればいい。それで投機ができる」。ロウ氏はニンニク投機家が使う手法をこう説明する。「基本的に、できる限りニンニクを買い占めて供給量を減らし、そこで価格を吊り上げる。買い占めたニンニクを倉庫から別の倉庫へ移すだけで、何百万ドルもの利益を上げられる」
ロウ氏によると、ニンニク卸業者の経営者たちも、似たような話をしている。ほかの地域で不動産や株の取引で大儲けし、膨大な現金や融資を手にしたギャングが、次の策略としてニンニク市場を標的にしているのだという。
インフルエンザ対策で外国人も買っていく
上海の大沽路にある食肉・野菜市場に店を出しているチャン・ウェイドン氏によれば、外国人がやはり新型インフルエンザと戦うために中国産ニンニクを輸入しているせいで、中国本土のニンニク不足に拍車がかかっているという。
同氏曰く、中世のヨーロッパ人が、ニンニクはドラキュラのような亡霊を退治してくれると信じたように、顧客は今、新型インフルエンザに効くと信じて1ポンド1ドルのニンニクを買っていくという。中国は世界のニンニク生産の4分の3程度を担っている。中国に続くニンニク輸出国は、アルゼンチンとスペイン。
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