「地殻変動」はもはや使い古された言葉のようにも思える。しかし、「環境」および「持続可能な発展」をキーワードに、営利企業の事業環境は今、まさに「地殻変動」とでも言うべき大きな変化の真っただ中にある。

地殻変動を起こし始めた事業環境

 20世紀後半、地球環境問題が顕在化し、世界各地域の社会発展の格差が鮮明になったことにより、このままでは「持続性ある地球社会の発展」は危ういという認識が次第に強まっていった。

 1987年に、国連のブルントラント委員会(正式名:環境と開発に関する世界委員会)は、「Our Common Future (我ら共有の未来)」と題する報告書を発行し、「持続可能な発展」という概念を初めて、世界に向けて大々的に打ち出した。

 そして、その報告書の発行を受け、1992年に、ブラジルのリオデジャネイロで、「地球サミット」(リオ・サミット)が開催され、環境の保全と健全な社会発展の達成方法に関する国家首脳レベルでの真剣な議論が交わされた。

 今年の12月、私の母国デンマークの首都コペンハーゲンで行われる「国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議=COP15」と、来年、日本の名古屋で開催される「生物多様性条約第10回締約国会議=COP10」は、どちらも1992年の地球サミットに端を発するものである。

 企業から見ると、このような時代の大きな潮流は、新しい「社会制約」と「環境制約」の台頭として具現化するようになり、1990年代を通じて次第に経営に影響を与えるようになった。下の図を見ていただきたい。企業は図の左側にあり、右方へと進む存在だと考えられる。

図1 変化する社会制約と環境制約