中国経済の勢いは止まりそうにない。10月22日に発表された第3四半期の経済成長率は前年比で8.9%となり、各種マクロ経済数値もおしなべて良好だ。中国のエコノミストたちは経済の「V字型回復」をさも誇らしげに論じ始めている。

成長を続ける中国経済

中国7~9月期GDP、8.9%増 大型景気刺激策などで

今年7~9月、中国の経済成長率は8.9%。写真は河南省鄭州の家電量販店〔AFPBB News

 本当にそうなのか。半信半疑のまま、今週久しぶりに北京の旧友を訪れた。

 今回は、短期間ながら北京の街中を歩いて個人的に見聞きした事象をご紹介しながら、改めて「中国株式会社」というビジネスモデル成功の秘密について感じたことをお話ししたい。

 オリンピック、リーマン・ショック直後の昨年秋と比べても、北京は一段と垢抜けて見えた。例年より早い雪の中で大学街を歩き回ったが、場末の商店街ですら商品は質・量ともに向上していた。一般庶民の消費意欲、生活向上への確信が肌で感じ取れた。

 もちろん、都市と地方の格差は今も変わっておらず、北京を見ただけでは中国全体は見えない。国家統計局発表の数値だって基本的には信用できない。それでも、今回ばかりは、発表された統計数値が示す中国経済の力強さは本物だと直感した。

向上した乗客マナー

北京の地下鉄に「女性専用車両」を、地元政治家が提案

北京の地下鉄では日本のように女性専用車の導入も検討されている〔AFPBB News

 北京オリンピック効果も随所で見て取れた。

 特に、つい数年前まで3路線しかなかった地下鉄は今や8路線に拡大され、バスやタクシーに乗らなくても北京大学や空港まで北京版「スイカ」で直接行けるようになった。筆者にとっては実に新鮮な驚きである。

 それだけではない。地下鉄でも、バス停でも、今や北京ではラッシュ時に乗客が列を作り、整然と乗り降りしている。地下鉄構内のエスカレーターでも、急ぐ人のために何と乗客は右側に立っている。