先週に引き続き、コストの安い海外にアイデアと努力で対抗して見事に再生を果たした味の素の九州工場についてお届けします。各組織のナンバーワンの人材を引き抜いて、改革の陣頭指揮を執った戸坂修工場長(当時、現在は副社長)直轄の13人の戦略特命チームを発足させ、そのチームが様々な改革のアイデアを実行に移しました。

誰も言うことを聞かなかった最初の2カ月間

 13人の戦略特命チームには、要員のスリム化を実行可能にする実行計画づくりを依頼しました。物の流れを重視した組織体制と自己完結・生産特化型の業務配置を行い、マルチスキル化と標準化を徹底した「生産構造改革」、ゼロベースでの徹底的な無駄取りと安易なアウトソーシングをしない「基本スタンス」、そして「安定生産の確保」という3点が、実行計画の柱となりました。

 戸坂氏が立てた戦略や目標設定に対し、戦略特命チームが3カ月で実行計画を作りました。次の1年間、全員参加で実行計画を推進し、実際に工場を動かしながら本質的課題の抽出や、課題解決を全員で行います。それを1タームとして2年間、プロジェクトを続けました。

 しかし、戦略特命チームが策定した計画を、生産ラインがすぐに納得したわけではありません。あるメンバーは、「やはりなかなか理解してくれませんでした。それは不可能だと、最初の2カ月は全く動きませんでした。

 しかし、私自身、現場を回ってとことん話をし、現場の中へ入っていきました。3カ月目くらいから、ようやく『お前が言うのならやってみるか』と言ってくれる人が出始め、少しずつ動き始めたのです」と言います。