(2009年11月7/8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
大半の投資家は、「それ」が存在することに異論をはさまない。ただ、「それ」がどの程度大きいのか、どの程度警戒すべきなのかは、あまりはっきりしていない。
ここで言う問題の「それ」とは、ドル・キャリートレードのこと。最近非常に大きな利益が上がるようになり、その結果、人気もうなぎ上りの投資戦略である。
にわかに人気が高まる投資戦略
米国の超低金利政策を受けて、ドルがキャリートレードの調達通貨になった〔AFPBB News〕
仕組みは至ってシンプルだ。ヘッジファンドをはじめとする投資家はまず、ドル資金を短期で借り入れ、市場で示されている低い金利を支払う。
そして、その資金で利回りの高い資産を購入する。投資対象は、金利水準がドルより高い外国通貨や、原油、コモディティー(商品)、新興国の株式や債券、企業のエクイティや債権など多岐にわたる。
この戦略には、利益を生み出す源泉が2つある。1つは、購入した資産が生み出す利息や値上がり益。もう1つは、資金を借り入れた通貨の相場変動によって得られる利益だ。
ドル・キャリートレードはまた、借り入れ通貨であるドルの価値にも影響を及ぼし得る。例えばブラジル株を買うためには、借り入れたドルを売らなければならないからだ。
キャリートレードという手法は以前から多用されている。かつてはドルではなく、金利の低い日本円を借りるパターンが何年も用いられた。しかし昨年の金融危機の真っ只中に円相場が上昇し、変動が激しくなると、円キャリートレードの「巻き戻し」によるポジション解消が相次ぎ、数多くの市場に連鎖反応が及ぶことになった。
「巻き戻し」に警鐘を鳴らすルービニ教授
11月に入って、ドル・キャリートレードを巡る議論に火がついた。火つけ役は米ニューヨーク大学スターン経営大学院のヌリエル・ルービニ教授である。教授は11月2日付の本紙(英フィナンシャル・タイムズ)への寄稿文*1で、ドルを市場から低利で借りられることがリスク資産のバブルを煽っていると指摘したのだ。
この寄稿文はFT.comで、この週最も読まれた記事の1つになった。
*1=Mother of all carry trades faces an inevitable bust(FT.comの購読が必要な場合もあります)
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