そこで「何もしていません」などと答えれば、やれ「カウンセラーに通った方がいい」、やれ「インターネットを使ってボーイフレンドを探した方がいい」などと、問題が解決するまで周囲が放っておかない。
つまり、米国の社会には「今の自分に満足していなくてはならない」という強迫観念があり、それがプレッシャーとなって米国人女性を不幸に追い込んでいるのだ。
現在の米国で、女性が自分に満足することは至難の業だ。
理想の女性像とは、頭が良く、数カ国の語学を操り、高学歴で、男性と対等に仕事をこなし、高収入で、しかも男性に媚びることはなく、けれどセクシーで、美人で、スタイル抜群で、身に着けるもののセンスがよく、毎日ジムに通って運動し、健康に気を使い、優しいけれどはっきり「ノー」と言える自己主張があり、結婚したら完璧な妻となり、子供を産んでも家事も仕事も子育ても難なくこなし・・・と、現実にはあり得ないスーパーウーマン像が押し付けられている。
これは、女性解放運動以前の価値観と、その後の価値観が合わさり、その両方が求められるようになっているからである。しかも、彼女らの親の世代は、目まぐるしく変化した女性観に対応できず、娘たちに「女性はこうあるべきだ」、もしくは「こういう人になりなさい」というきちんとした価値観を植え付けることができなかった。
女性にとって心の安らぎを得るのが難しい社会
現在、米国社会の中心労働力となっている女性たちは、実際にはどういう人物になりたいのか、はっきりとしたビジョンを掴みきれないでいる。その結果、メディアの情報に振り回され、常に自分が完璧な女性像からほど遠いという失望感と敗北感を味わうような状態にある。
実際、世論調査と並行して全米の女性にインタビューして回ったジャーナリストは、「どこに行っても、女性たちから、非常に強いストレスを感じているという声を聞きました。かつて、女性がこんなに多くのことを要求され、これ以上できないというほど働き、尽くさなければならないような状況があったでしょうか」と感想を述べている。
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