(英エコノミスト誌 2009年10月31日号)
特殊出生率の低下は、世界を良い方向へと変えている。
出生率の低下が富をもたらすのか、富が出生率低下を招くのか〔AFPBB News〕
世界は今後2~3年以内に(もしそれが既に起きていないとしたら)、1つの節目を迎える。人類の半分が、自分たちを置き換えるだけの子供しか持たないようになるのだ。すなわち、世界の半分で特殊出生率が2.1かそれ以下になるということだ。
2.1というのは「特殊出生率の人口置換水準」、国の人口の伸びを鈍らせ、最終的に一定の状態にする魔法の数字だ。国連人口部によると、2000~2005年には、世界の全人口65億人のうち29億人が、出生率が人口置換水準並みかそれ以下の国に暮らしていた。
その数は2010年代初頭に70億人中34億人にまで増加し、2010年代半ばには50%を突破する見通しだ。これらの国の中には、ロシアや日本だけでなく、ブラジル、インドネシア、中国、そしてインド南部も含まれる。
出生率が人口置換水準へ向かう流れは、歴史上、最も劇的な社会変化の1つだ。それは今年イランで起きた宗教的指導者に対する暴力的な学生デモにはっきり表れていた。出生率の低下はほぼ間違いなく、インドとインドネシアで現政権を支持した中流階級の有権者の増加にも貢献した。
機械化の進んだ農地に囲まれた、経済的にも空間的にも恵まれたマレーシアの農村地域でもこの現象が見られる。また、世界中のあらゆる国で、出生率の低下は女性の就労と子供の教育を可能にし、伝統的な家族生活を変えつつある。
環境問題の圧力によってマルサス主義の警告が鳴り響いている中、特殊出生率の低下は世界的な人口動態のトレンドについて、安心材料をもたらしてくれるかもしれない。
特殊出生率は、憶測と言ってもいいような仮説上の数値だ。これは、全人口に対して1年間に生まれた子供の数の割合を示す「出生率(birth rate)」とは異なる。「特殊出生率(fertility rate)」は、一般的に15~49歳とされる出産適齢期に平均的な女性が出産するだろう子供の数を指している。
もし若年死亡がなかったとしたら、人口置換水準は2.0になる(といっても、女性は男性より出生数が少ないため、実際は2.0より若干高めの数字)。2人の親は2人の子供によって置き換えられる。しかし、女子が出産適齢期に至る前に死亡するかもしれず、その計算には若年死亡を考慮しなくてはならない。
貧困国では、子供の死亡数が比較的多いため、人口置換水準も高い。富裕国では人口置換水準は2.1程度だが、貧困国では3.0を超える場合もある。世界平均は2.33だ。だが2020年頃には、世界の特殊出生率は初めて世界の人口置換水準を割り込む見通しだ。
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