(2009年11月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏が、これまでの人生で最大の投資に踏み切る〔AFPBB News〕
その規模を別にすると、バークシャー・ハザウェイが米鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)に行った買収提案は、これ以上ないほどウォーレン・バフェット氏らしい買収である。
まず、バフェット氏は今回、会社を差し出されたようなものだった。
バークシャーはもともとBNSF株の22.6%を保有しており、ある時、バフェット氏が取締役会に出席した際に、CEO(最高経営責任者)のマシュー・ローズ氏に残りの株式をすべて取得してもいいと示唆したところ、ローズ氏は同じ立場の多くのCEOがそうしたに違いないように、この申し出に飛びついたのだ。
多くの米国企業がバフェット氏のことを誰より望ましい買い手と見なすのには、2つの理由がある。
1つは、バフェット氏が概して、経営陣を尊敬している会社を買い、買収後も彼らに経営を任せることだ。ポストを巡る駆け引きがある上場企業の合併や、経営陣がすげ替えられる可能性のあるプライベートエクイティによる買収と違って、バフェット氏が経営者たちに慕われるわけである。
誰もが欲しがるバフェット氏の太鼓判
抜け目ない投資家としてのバフェット氏の名声は、彼の名前が黄金の太鼓判と見なされるようになったことも意味している。
このことは、昨年の金融危機の時にはっきり見て取れた。当時、問題を抱えた複数のウォール街の金融機関が競うようにバフェット氏の元を訪れ、自社のバランスシートが健全だということを投資家とアナリストに納得させるために、同氏から出資を引き出そうとした。
バフェット氏は結局、多額の配当金が出る優先株の形でゼネラル・エレクトリック(GE)とゴールドマン・サックスに出資した。とりわけゴールドマンへの投資は、狙い通りの成果を上げた。バフェット氏は現金を手にしたばかりでなく、同氏の投資もあってゴールドマン株が急騰したからだ。
次に、今回の買収は、規模が大きく強固な米国企業、それも確立されたブランドと強力なキャッシュフローがあるだけでなく、バフェット氏とビジネスパートナーのチャーリー・マンガー氏が「お堀(moat)」と呼ぶもの――ほかの会社が打ち破ることのできない、防衛力のある強い会社――を持った企業を好む嗜好と合致する点でも、実にバフェット氏らしい。
バフェット氏がかねて、リングレイやコカ・コーラといった食品・飲料ブランドを好むのはこのためだ。1つの商品カテゴリーで圧倒的に大きな存在感がある会社を倒すのは難しいと考えてのことである。反対に、バフェット氏はグーグルには温かい言葉をかけながらも、ハイテク企業は概して敬遠してきた。
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