(英エコノミスト誌 2009年10月10日号)
仕事に対する幻滅感が広がりつつある。それに対して何ができるだろうか。
フランステレコムでは相次ぐ社員の自殺を受け、労働環境の改善や、トップ辞任を求める抗議行動も起きている〔AFPBB News〕
フランスの小説家、アルベール・カミュが『シジフォスの神話』の中で書き記した通り、自殺は唯一の重大な哲学的問題だ。フランスでは目下、それが深刻な経営問題に発展している。
フランステレコムで相次いだ自殺や自殺未遂事件――その多くは明らかに仕事上の問題に起因する――は、現代企業における生活に関する国民的議論を巻き起こした。
ある男性は会議の最中に、自らを刺した(この事件は自殺未遂に終わった)。またある女性は、父親に自殺を予告するメールを送った後、4階にあるオフィスの窓から飛び降りた。そのメールには「私は今晩、命を絶ちます。会社の新しい再編には耐えられない」と書かれていた。
2008年初頭以降、フランステレコムでは合計24人の社員が自ら命を絶った。この不気味な現象は、ルノー、プジョー、EDFなど、フランス産業界を代表するほかの企業でも立て続けに起きている。
この悲壮感漂う傾向には、同社特有の原因もいくつか考えられる。フランステレコムは国営独占企業から多国籍企業への難しい転身を進めてきた。同社は2006年以降、2万2000人の人員を削減したが、残っている社員の3分の2は、国家公務員級の雇用保障を享受している。
このことが同社に有害な戦略を取らせる温床となっている。つまり、古くからいる「公務員」に新しい仕事を教える一方で、新規雇用者は短期契約にするのである。
ただ、自殺の問題はフランスに限った話ではない。米国労働統計局の試算によれば、比率はまだ欧州に比べれば低いとはいえ、米国でも仕事がらみの自殺件数が2007年から2008年にかけて28%増加したという。自殺は「仕事に起因する不満」の氷山の一角に過ぎないのだ。
米国のコンサルティング会社センター・フォー・ワークライフ・ポリシー(CWLP)の調査では、2007年6月から2008年12月にかけて、会社への忠誠心を表明する従業員の割合が全体の95%から39%に落ち込んだことが分かった。
この間、会社に対する信頼を公言する社員の割合も79%から22%に下落した。
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