(2009年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ついにこの時が来た! アイルランドがリスボン条約を批准した今、欧州連合(EU)は世界制覇を目指す計画を推進することができる。数カ月以内に、大統領と外務大臣を新たに任命することになる。
英国のトニー・ブレア前首相は、「EU大統領」の椅子に座るべく準備体操を始めている。外相ポストについても、スウェーデンやデンマーク、ベルギーの政治家が名乗りを上げている。
新しい対外政策構造を設けて守りを強化するEUは、自らを世界の超大国の1つとして扱うよう主張している。英国のデビッド・ミリバンド外相は、「米国と中国のG2ではいけない。EUも加えてG3にすべきだ」と述べている。
しかし、EUの本部があるブリュッセルで起きていることは、いや、米中欧の3者間で生じていることも、実はおまけのような出来事に過ぎない。欧州の野望にとって本当に重要なのは、世界の20カ国・地域で構成するG20の方なのである。
EUの父と称されるジャン・モネ氏は欧州の統合について、「それ自体が目的なのではなく、統合は、組織立った明日の世界に通じる1つの段階に過ぎない」と考えていた。彼の志を継いだブリュッセルの官僚たちも、自分たちがEU式の超国家的な統治形態を1つのグローバルモデルと見なしていることを隠そうとさえしていない。
G20は欧州のトロイの木馬
EUサミットのグローバル版?〔AFPBB News〕
筆者は米国のピッツバーグで先日開かれたG20サミットを取材していて、G20が欧州の「トロイの木馬」であることにはたと気づいた。
会場の周辺や雰囲気に妙に見覚えがある。そして、すぐになぜか分かった。ここはブリュッセルだ、このサミットはEUサミットのグローバル版でしかない、と。
手順も形態も全く同じだった。サミットの前夜には首脳たちが夕食会に集まる。丸1日、専門用語ばかりで難解極まりないコミュニケの内容や文言を巡って交渉し、何をするのかよく分からない作業部会を立ち上げる。閉幕したら、記者会見の部屋が国ごとに設けられる、といった具合である。
これらはすべて、欧州の首脳にはお馴染みの手順である。しかし、欧州がこの新しい構造に注意深く取り込んでいこうとしているアジアや中南米諸国の首脳にとっては目新しいものだろう。
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