(2009年10月2付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
終わりが見えてきた。苦痛に満ちた8年が過ぎ、欧州連合(EU)がついにそのルールブックの書き換えに成功することを祈りたい。リスボン条約の成立によって、欧州大陸の混乱は一掃され、欧州は重要な問題に心血を注げるようになる。筋書きはそうなっている。
悩み深かった欧州
10月4日、アイルランドはリスボン条約への批准を問う国民投票で圧倒的な多数で批准を決めた〔AFPBB News〕
筆者もできればそう信じたい。条約の批准は、明らかに1つの利点を約束している――EUの政治エネルギーを消耗させてきた強迫観念から解放されることだ。ただし、各国の政府は、それ以外にリスボン条約が解決してくれることはほとんどないことに気づくだろう。既存の欧州の諸制度が各国の政治指導部と同じくらい強力だからだ。
この点、欧州の悩みは深い。フランスのニコラ・サルコジ大統領はエネルギーと野心は持っているものの、必要な辛抱強さと外交手腕に欠ける。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、選挙に勝利した後で選り抜きの連立政権を樹立しようとしているが、現状にしがみついている。
英国の次期首相になる公算が大きいデビッド・キャメロン氏は、小さな英国という旗印を掲げている。イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相についてはくどくど説明する必要はないだろう。
もちろん、EUはリスボン条約がなくても機能することができる。我々はその証拠を、世界金融危機に対する対応――最初はバラバラだったが最後には極めて有効に機能した――の中で見てきた。行く手には重労働が待ち構えているが――特に単一市場を守り、世界に対して国境を開かれた状態にしておくこと――、これは条約修正とはほとんど関係がない。
各国の政府も、一般市民の熱狂や想像を呼び覚ますような文書は作成してこなかった。リスボン条約は極めて長い間作成中の状態にあったため、かつて苦労してそれを読み取った少数の人たちが、その条項を忘れてしまったとしても仕方がないかもしれない。
欧州大陸の指導者たちは、2001年当時のうぬぼれの強い期待からある程度距離を置くようになっている。過度の興奮に包まれた当時の議論は、フィラデルフィアに集まった米国の建国の父たちの議論に匹敵するようなプロセスになるというものだった。
だが、思わぬ障害が立ちはだかった。フランス、オランダ、アイルランドの国民が国民投票で立て続けに表明したように、欧州人は欧州合衆国という考え方に熱心ではないのだ。
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