ロシアにとって8月は鬼門である。1991年のクーデター、98年の金融危機、昨年のグルジア紛争等々、8月には何かが起こりがちである。 今年の夏は東シベリアの水力発電所事故という痛ましい事故はあったが、ロシアの国全体を揺るがす大きなイベントもなく、9月のビジネスシーズンへと季節は移った。

世界で4位の伸び、年初来上昇率97%

 9月に入ると、夏の間、方向感の定まらない動きを示していたロシア株式市場は俄然上昇に転じ、年初来の上昇率は16日現在で97%、世界主要市場でも4位につける健闘ぶりである(図表1) 。

 モスクワではこれから年末にかけて大手証券会社の投資コンファレンスが毎月のように開催されることから、例年、相場の押し上げムードが強くなる。

 果たして今年はどうなるのであろうか。いくつかの証券会社のリポートに目を通してみたが、傾向としては「強気」に振れる先が多いように見受けられる。

 強気の背景を探ってみると、次のような要因が挙げられる。

 まずは原油価格の動向である。ロシアの主要輸出産品であるウラル原油価格は、昨年12月を底に冬場は1バレル40ドル台で推移していたが、春先から上昇に転じ5月下旬に60ドルを突破してからは60~70ドル台で推移している。

原油・ガス銘柄の伸びが全体を底上げ

 ロシア株式市場はその時価総額の3分の2近くが原油・ガス関連の銘柄で占められていることから、原油価格が高値で安定的に推移すれば、株式市場もそれに追随することは想像に難くない(図表2)。

 また、実体経済の一部に底打ちの兆しが見られることも一因である。これは欧州向けの輸出は依然振るわないものの、中国をはじめとする新興国向けの輸出(鉄鋼、非鉄、肥料、食料等)が堅調に推移しており、外需向けの国内企業の中には金融危機前の生産水準に達するところも見られる。