昨年、国内のマンション販売戸数は9万8000戸と、16年ぶりに10万戸を割り込みました。前年比で26.7%減、首都圏だけなら28%減という、まさに歴史的な冷え込みを迎えたのです。

販売総額は25%も下がっているのに平均価格は上昇

 ところが、販売総額が25%ダウンの3兆8000億円だったものの、平均価格は逆に2.3%アップの3900万円。供給サイドの思惑とマーケットの期待との決定的な乖離が明らかです。

 一般的に商品の価格は、原価に利益をプラスしたものです。マンションの価格もまた、平成バブル下における土地価格、建築コスト高騰で価格上昇を余儀なくされていました。しかし、マーケットがその価格を受け入れられるかどうかはまた別の問題です。

 作れば売れた平成バブル期のマンション市況。しかし、計画から販売まで、数年を要するマンション開発。平成バブルに踊り、次々と計画されたプロジェクトが、実際にマーケットに売り出された時には、もはやマーケットは体力をなくしていたのです。

 この需要と供給の “思惑のタイムラグ” こそ、今回のマンション不況の根本の原因です。

 一時は、恐慌突入かとさえ懸念された日本経済。マンション販売も氷河期突入かと思われましたが、今年になってマーケットの明らかな動きが顕在化してきました。

値引きが原動力となってマンションが売れ始めた

 今年になって、平均価格は前年同月比で25.9%、平方メートル単価で14.6%と大幅ダウンしているものの、在庫数は前年比で15%以上減少。簡単に言えば、大幅値引きにより、売れ始めたということです。

 実際、日本経済新聞でも、三菱地所の木村恵司社長のコメントを以下のように掲載しています。