世界経済危機後のロシア周辺諸国

影響力拡大を狙いIMF、ロシア、中国による融資合戦?

2009.06.25(Thu) 日台 健雄

ロシア

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 このように、CIS諸国のうち国際収支が悪化した国々は軒並みIMFからの融資を受けるようになった一方で、IMFの融資に対抗するように、ロシアもCIS諸国への融資を行おうとしている。例えば、2月初旬にキルギス大統領が同国に駐留する米軍部隊の撤退を要求する声明を発表するのとほぼ同じタイミングで、ロシアはキルギスに総額21億5000万ドルの融資および援助を実施する方針を公表している。

 また、IMF財政赤字の増加を理由にウクライナへの融資を2009年2月に一時停止し、それに反発した同国のチモシェンコ首相が50億ドルの融資をロシアに求めると、ロシアは融資に応じる姿勢を一時的に見せている。

 ベラルーシに対しても、同国への巨額の融資と引き換えに、同国とロシアとの貿易の決済通貨や融資の通貨を米ドルからロシア・ルーブルに切り替えることをロシアは要求した。さらに、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンで構成されるユーラシア経済共同体を通じて、危機対策の資金75億ドルを融資する意図もロシアは表明している。

融資を通じた影響力の拡大競争

 このように、ロシアによるCIS諸国への融資には政治的思惑が強く絡んでいると言えるが、その背後には、周辺諸国が経済的な困難に見舞われる中で、融資などの形を通じてそれら諸国への影響力を拡大し、ロシア・ルーブルを周辺地域における基軸通貨にしようという意図も見え隠れする。

 なお、CIS諸国に対して融資を通じ影響力を拡大しようとしている国は、ロシアに限られない。中国もまた、巨額の融資をCIS諸国に行おうとしている。具体的には、世界的な信用収縮の中で外国での資金調達が困難となったカザフスタンやロシアの国営石油・パイプライン企業に対して、将来的な原油輸出分を担保として、中国国営企業が巨額の融資をする見通しである。

 また中国は2009年6月中旬に、上海協力機構(加盟国:ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、中国)を通じて、同機構加盟国に経済危機への対策資金100億ドルを融資する意図を表明している(表2参照)。

 

 以上見てきたように、経済的な困難に直面するCIS諸国に対してIMF、ロシア、中国がそれぞれ融資を展開しているが、そこには、融資を通じた影響力の拡大競争とも言うべき状況が生まれている。同地域の今後の動向が注目される次第である。

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