南極大陸という大地で時間という概念は意味を持つのだろうか。
時間とは人間のみが測り得る空間の経過の尺度である。時空は流転するものであり、その中に存在する全ては絶えず変化し、留まることはない。
南極の氷の厚さは最も厚い所で4500メートル、平均2450メートルというが、南極の氷が溶けてなくなると、海面が40~70メートル上昇するらしい。2002年5月には、1万2000年の歴史を持つ南極のラーセン棚氷が崩落したが、地球温暖化の影響ではないかと考えられている。
南極からわずか1000キロメートル。アルゼンチンにある世界最南端の街、ウシュアイアは南極観光のシーズンとなる夏の時期に、南極行きの船が毎日港から出航する。
私のウシュアイアを訪れた時期はシーズンが始まったばかりで、世界中から富裕層が大挙して押し寄せていた。街の5つ星ホテルやレストラン、高級ブランド店は盛んに賑わい、カジノではポーカーやバカラのテーブルにうずたかくチップが積まれ、黒山の人だかり。
ここでは世界金融危機や「100年に1度」とも言われる大不況はまったく無縁の出来事のように思える。
船上で振る舞われるシャンパンとカクテル
現在、南極大陸は、世界33カ国が南極大陸の環境保全を目的とする南極条約議定書に基づき、その保護を推進している。議定書によれば、この地を訪れる人はゴミ1つ捨ててはならず、石ころ1つ持って帰ることはできない。
日本人が南極に向かう際は議定書に基づき、環境省の地球環境局環境保全対策課に届け出をする必要がある。これを怠ると帰国後に罰則が待っている。
南極行きの船は、大きな船から小さな船まであり、豪華さやスタッフの人数、大陸への上陸回数なども実に様々である。巨大超豪華船は船内にプールやカジノがあったり、夕食時はドレスコードが求められる。だが、南極大陸には上陸できない。逆に小さい船は機動力があり、乗船する客の人数が限られているため、南極大陸への複数回の上陸が可能だ。
私が乗船したのはアントラティカ・ドリーム号。パナマ船籍で、チリの国旗が掲げられた赤と白のカラーの小型船だ。小さい船だが、南極に上陸しない大型豪華客船(アルゼンチンから南極を通ってブラジルまで就航)よりも、チケットの価格が3倍も高い。
値段と内容は比例するようで、この船は他の小型船よりも設備が良く、航海の内容も充実している。キャビン(客室)とレストラン、回廊は飴色のマホガニー材と黄金の輝きを放つ真鍮でラグジュアリーに装飾されている。
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